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「一般社団法人Colabo」の分析(49)仁藤夢乃氏ら、フィリピンで売春施設でない店を売春店舗のごとく報告 募金を募り、詐欺罪の疑い

2023年8月25日18時21分
カテゴリ:外信

「一般社団法人Colabo」の分析(49)仁藤夢乃氏ら、フィリピンで売春施設でない店を売春店舗のごとく報告 募金を募り、詐欺罪の疑い

一般社団法人Colabo代表の仁藤夢乃氏が、夜の街からシリーズというYouTubeにアップしている動画で、あたかも買春施設のように語っていたフィリピン、マニラ市内の店舗「ORANGE5」が、売春施設とはほぼいえないことが現地取材の結果、分かった。仁藤夢乃氏は、この動画を根拠にTwitterで寄付を募っており、実態と異なる女性の貧困を謳って自己の団体に集金する行為は詐欺罪を構成する可能性がある。




これが登場するのは『夜の街から』vol.10:2023年8月7日フィリピン・マニラで女性を買う日本人男性という動画。


この動画の中でのおおまかな仁藤氏らの主張は①日本人売春客がフィリピンに来ている②撮影した被写体は日本人である③店舗は売春サービスを行うか、それを取り次ぐものであるという3つの言明に分解できる。




(男性2名が問題の店舗に入っていくシーン。ORANGE5という店舗名が確認できる)


該当部分の発言は文字に起こすと、仁藤夢乃氏と同行している社民党系活動家の菱山奈帆子氏が「2人で安全なところかってことをチェックした上で入っていったのを目撃しました。わざわざ飛行機を取ってここまできてそれでフィリピンのお店に入っていく。そして交渉次第で性交渉もできる。そういうことをやっている。本当に信じられない。」と述べ、それを受けた仁藤夢乃氏が「男たちばかりが儲かる仕組みになっていて、少女や女性たちは痩せてる方も多いです。貧困層の方ばかりだけど」などと繋ぐ。




(仁藤夢乃氏のツイートスクショより)


仁藤氏によると、ご支援の依頼として「街には路上で暮らす家族やストリートチルドレン、物乞いをする子どもたちもいるフィリピンで見た日本人買春者や業者の実態をお伝えします。ぜひご覧ください。私たちは2023年度から、少女たちからの信頼と安心安全を守るため、東京都からの委託や補助金に申請することは辞め、市民の方のご寄付で自主事業として活動することにしました。活動を続けるためにご支援をお願いいたします。」などとして、コラボHPの寄付を募るページのリンクを貼っているところ、仁藤夢乃氏がマニラ女性の困窮状況としてアピールした店舗は、売春店舗とはほぼ言い難いため、実態と大きく異なる内容を喧伝しての寄付の集金行為であり、刑事の詐欺罪に当たる可能性がある。


また民事上も、仮にこの動画を見て感心した支持者が寄付をした場合には、詐欺取消、錯誤取消、不法行為に基づく損害賠償請求の対象なり得る。加えて、この動画に出演して店舗を紹介している菱山奈帆子氏にも仁藤夢乃氏およびコラボとの共同不法行為が、勘違いして募金した寄付者に対して成立する余地がある。



(昼のオレンジ5。筆者撮影)


筆者の裏付け取材は8月19日から21日までの3日間「オレンジ5」に、いやらしそうな日本人客として来訪して、店舗内で実施した。初日が開店直前の18時40分から閉店の午前3時まで、2日目が午後8時から0時まで、3日目が開店前の18時30分から午後23時30分までの合計16時間にわたり、ビデオを回す、録音するなどしながら周囲の客の構成、女性との接し方などを観察する方法で調査した。


初日はスマートフォンでネット記載の住所を頼りに訪れたものの、店舗の位置がアイフォンのマップとかなりずれていたため、「いかにも」なポン引きに尋ねたところ200〜300メートル、マップと離れた場所で店舗を確認、入店した。


3日間の取材結果として、結論からいうと、客には大別して3種類おり①主にカラオケをよく歌う客(歌っていない間は女性を傍に「はべらかす」のを楽しんでいた。歌唱力は高く、のど自慢風のタイプ)②女性らをそばに置いて酒を飲みながらよく話す客(このタイプが最も多かった。複数名で来店する場合は特にこの手の客であるケースが多い)、そして③女性の肩を抱く、キスをする、服をまさぐるなどする「エッチな」客に分類できた。



(筆者撮影の店舗内写真)


なお料金体系は90分の飲み放題(フィリピン製ウイスキー2種類、JINRO、サンミゲルビール3種から選べる)が2000円である(*1ペソ4円で換算。「400ペソ」ということだったが、それにサービス料、税などをかけた複雑な料金体系をしていたので、実際の支払額ベースで金額は記載)。そして女性一人を同席させるごとに、あるいはドリンク(一杯で1500円程度から3000円程度)を女性に飲ませるごとに料金が追加される仕組みである。


強いていうなら③タイプが最も「買春」に近い客であるが、筆者が16時間ほどかけて合計30名ほどの客を確認した限りでは、手や口の利用を含む性行為をしている様子は見受けられず、また店舗外へ女性とともに出たケースも観察の限りではなかった。なお店舗内にはVIPルームと称される部屋もあったが、どれほどいやらしそうに「この部屋で特殊な行為ができるのか」と聞いても、従業員らは首を縦に振らず、そういう店なら他にあるという旨の紹介にとどまった。


仮に仁藤氏らここで売春を行なっていると主張したい場合は(1)店舗内で売春していることを押さえるか、(2)連れ出しで①店舗を従業員女性とともに客が出てくる場面と、②その2名がホテルに出入りするようなシーンを両方とも押さえる必要があると思われる。


ところで、エコーニュースとコラボの裁判で問題になっているコラボの脱税疑惑にも、この仁藤夢乃の甚だしい事実誤認(あるいは誤導)は陰を落とす。というのは、仁藤夢乃氏ら一部役員が研修名目で毎年のように(少なくとも2014年から2018年まで)フィリピンへ旅行していたのに、売春している店とそうでない店の区別がろくに付いていないとしたら「遊び呆けていた」可能性が高いからである。


仁藤夢乃氏らのこのテンプレート的な海外売春批判はまた、「活動」としても過去の二番煎じであるという感を免れない。例えば、売春取り締まりを訴える団体の老舗である「日本キリスト教婦人矯風会」の出版した百年史を紐解くと1973年、実に半世紀前から海外売春ツアーは日本で社会問題とされている。仁藤氏らは極めて安易にその「型」を踏襲して、事実確認を行わずに印象だけでビデオを作り上げているように思われる。


ともかく、ここは冒頭で仁藤夢乃氏らが紹介したような種類の店舗ではなかった。同行した男性(稲葉隆久理事のようなフォルムである)が囮捜査のようにして入店しさえすれば、確認できるミスをなぜ犯すのか筆者には理解できない。細かい部分で言うと経営者は少なくとも表面上はふくよかな中年の「ママ」さんで、営業開始前のミーティング(ホストクラブの朝礼を思わせる、体育会系ノリのもの)を仕切ったり、切り盛りしていた現場での最高責任者は女性である。なので、仮に裏には別の男性の金主がいる可能性を排除できないとしても、「女性が搾取されている側」という簡単な図式ではない。なお仁藤夢乃氏らが「援交カフェ」として同じ動画の中で紹介していたバー(LA CAFE)は、確かに売春婦が客待ちをする施設であった。


もう少しいうと、50年前の矯風会のように「本当に」売春施設で苦しんでいる女性をコラボが援助しているならば、その店を扱えばいいわけで、見当違いのスナック・キャバクラ的なこの店を売春店舗とする理由がない。おそらく仁藤夢乃氏らはどの店が売春店舗かもちゃんと把握せず、(あとまた裏どりしようとする人間もいないものとたかを括り)適当にイメージで動画を作っているだけに見えた。


ともかくこのオレンジ5、日本で言うとおそらく、「キャバクラ」「スナック」に類する店舗で、それを仁藤夢乃氏らはソープランドと主張しているのに近い。なお、このマニラ取材はいくつかの点で興味深いため、2回に分けて掲載する(後編に続く)。より詳しい、店舗の構造や雰囲気、営業形態などは動画であらためて紹介する。


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