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「一般社団法人Colabo」の分析(28)仁藤夢乃氏・デビュー著書は景表法違反の疑い濃厚なステマレビューで喧伝・・・マーケティング至上主義のニヒリズム

2022年10月14日18時32分
カテゴリ:国内

「一般社団法人Colabo」の分析(28)仁藤夢乃氏・デビュー著書は景表法違反の疑い濃厚なステマレビューで喧伝・・・マーケティング至上主義のニヒリズム



(英治出版社・ツイッターアカウントより)


仁藤夢乃は徹頭徹尾、組織作りにおいて成果主義者だ。彼女は大学卒業と同時に書籍を出版しているが、それについても実際の内容や読者の反応などには気を遣わず、むしろ一般社団法人Colabo(以下、コラボ)を運営する上でのアイテムと割り切っている面がある。


というのも今更だが、仁藤夢乃氏が初の著書難民高校生を出版した版元の英治出版社が、アマゾンなどでレビューを書くことを条件に書籍を無料でプレゼントするというキャンペーンを10年以上続けていたことが分かったのだ。仁藤夢乃氏の書籍のほかにも同社は出版物にモニターを募集してタダで配布の代わりにレビューや口コミのアップを依頼していた。景品表示法は5条1項で、実際の商品よりも内容が良いと誤認されるように消費者が勘違いするような広告手法を禁止しており、無料モニターによる人気商品であるかのような口コミ投稿は、この優良誤認表示の禁止に触れる可能性がある。



なおレビュー依頼の具体的な内容例は、英治出版のウェブサイト魚拓にある2022年出版の単行本ページによれば、以下のようなものである。




(英治出版ウェブサイト魚拓より)


まず、レビューを書くことを条件に英治出版が本を無料で送るとあり、その決定は抽選によるという。応募方法としては同社サイトの販売ページから「応募対象書籍の販売価格は0円として表示されているものを、購入する手続きを取ると後日に当選者へ連絡が行われるというものである。当選者へは商品が送付されるので2週間以内にAmazonのレビューを作成することとある。なおアマゾン以外の、レビューサイトもしくはご自身のSNS・ブログ等への投稿でも可能だが、その場合も含めて、名前とレビューの内容をできるだけ速やかに、英治出版社までメールで連絡するように、ということである(注1)。


なお、このような具体的なモニター条件のページへアクセスするには会員登録の必要があり、一般にはやや分かりにくい内容になっていた。ただモニターの選び方は「抽選」としか書かれていないものの、レビューを一旦したらその内容は英治出版へ連絡することとなっていることから、もし再度モニターになりたければ(暗黙の了解として)なるべく良い点数でレビューを書いて褒めちぎろうとなるのが人情のように思う。


消費者庁ホームページの「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」によると、景表法違反に当たるかどうかは個々別々の具体的判断によることとされるが、問題となることの多い事例の一つとして、無料の口コミ依頼を秘して行ったような例が挙げられている。


以前の記事でも触れた通り、英治出版は企業の宣伝目的の書籍出版を売りにしており、仁藤夢乃氏も一般社団法人を2013年3月に立ち上げるのと同じタイミングで著書「難民高校生」を出版している(なお同書の「バイブル商法」への活用については、こちらの過去記事リンクを参照)。



英治出版ウェブサイトより)


問題の難民高校生はアマゾンの商品紹介ページでレビューが大きく高評価と低評価に別れているが、古い順にレビューを見ていくと出版直後に高評価のものが多く目についた(注2)。これらのうちいくつが出版社のモニター募集によるものであるかは不明だが、もし依頼されたモニターが書いたレビューが含まれていた場合は、①まずレビュー数を多くするという行為自体にサクラ類似の問題点、あたかも流行の一冊であるかのように誤認させるという問題があり②また本音で、自腹で買った書籍と同じように正直なレビューがついていたかも怪しく、以上を合わせると景品表示法違反の疑いが濃厚になる。



(難民高校生についた、アマゾン上の好意的なレビューより。2013年時点の仁藤氏がそこまで有名人だった気はしないが、初期に集中して書き込みが出ている。)

ここまでに鑑みると、誰かが英治出版で本を出そうとすると、他の本で無料モニター商法をやっている会社であることもあり、自分の(自社の)書籍までが無料モニターによる好意的なレビューや口コミを受けていて、「下駄を履いている」かのように思われるリスクがあるだろう(この記事は連載「一般社団法人Colaboの分析」28回です。のちにタイトルを改題します。)。




(アマゾンの難民高校生 星別レビュー割合より)


【10月17日追記】10月15日付のはてぶユーザーの指摘にあった通りアマゾンのコミュニティガイドラインでは、無料で商品を受け取ってのレビュー投稿は禁止されている。このように取引関係者の間で、禁じられている項目を促す販促手法を取っていたことは、難民高校生へのモニター無償レビュー依頼の違法性を強める方向で働く。



(Amazonより)


注1:また他の条件として「先着順ではございません。」「モニターで書いていただいたレビューは販促の目的でほかの媒体(TwitterやFacebook、書店のPOPやパネルなど)でも一部抜粋して利用させていただく場合もございます。予めご了承ください。」「過去に新刊モニターとして選ばれた方もご応募いただけますが、レビュー未掲載の場合、キャンセルさせていただくことがあります。」「抽選結果についてのお問い合わせにはお答えできません。」などがあった


注2:すなわち「FT-101 星5 大人の自分も負けてはいられないと思わされた内容でした。2013年4月10日」、「mu- 星5 勇気をもらえる一冊 2013年4月13日」、「ギンジロウ 星5 考えさせられました 2013年4月14日」、「yasuis 星5 誰が読んでも、心地良い元気がもらえる一冊です! 2013年4月14日」、「libros 星5 夢を追いかけられる社会にするために 2013年4月15日」、「ちーちゃん 星5 大人にも読んでもらいたい一冊 2013年4月18日」、「武田美奈子 星5 孤独のなかで過ごす10代の人たちに読んでほしい 2013年4月21日」、「兼子佳恵星 星5 たくさんの人に読んでほしい!2013年5月1日」、「HT 星5 今の時代に必要なことを強く感じました!大人、必見。ほんと。」、「fantasista 0525 星5 目の前の相手、そして自分自身に「唯一無二の存在としての尊厳」を抱くこと 2013年5月28日」、「品川みく 星4 「遊んで」いるようにみえる高校生の見方の難しさ 2013年5月28日」、「yoyogi1 星5 思春期の我が子が理解できない保護者の方々必見です。2013年6月25日」と高評価が並ぶ。以上を見ると、2013年3月から6月という、発売直後の3ヶ月で12件のレビューがつき(なおその後のレビューがつくのは2014年6月)、一気に口コミ数でも評価でも、流行りで尚且つ優れた書物のような感を受けるようになっていた。




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【江藤貴紀】


 

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