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「一般社団法人Colaboの分析」(34)地方議会議事録で見るコラボ②・・・議員のゴリ押しと、財政民主主義からの「治外法権」特権

2022年11月15日17時00分
カテゴリ:国内

「一般社団法人Colaboの分析」(34)地方議会議事録で見るコラボ②・・・議員のゴリ押しと、財政民主主義からの「治外法権」特権

一般社団法人Colabo(以下、コラボ)は現在、バスカフェ事業などの違法経理を指摘されて住民監査が実施されているが、目を引いたのはその雑な会計処理と、にも関わらず数千万単位ですんなり東京都との業務委託契約を受注できたことだ。また「バスカフェ」事業の実施回数すら当初の契約通りでなかった。にも関わらずなんのお咎めもなく、2018年度以降の契約が更新されてきたというコラボへの「優遇措置」はどこから来たのか。


第33回に引き続き、今回も地方議会の議事録を手掛かりに、コラボと政治の関わりを眺める。ただ今回は、議会経由での行政への圧力が露骨に現れている新宿区、渋谷区、東京都の議事録に的を絞る。



(筆者まとめ)


具体的にはコラボの事業が行政や住民によるコントロール外になっている点を2つの事例を通して確認して、なぜそれが通るのかを、第3の事例で見る議員による威迫によって確かめたい。


ここで最初の「コントロール外」というのは2つの意味がある。まずは行政官(つまり役所の役人)がコラボにいうことを聞いてもらえない(それを我慢している)という点。もう1つはある意味でより深刻で、議会の議事録ですらぼかされる形でコラボが行政財産を無償使用しているという点だ。議会ですら開示されない、また情報公開請求でも不開示にされる財産の管理や処分方法に対しては、住民は選挙を通してコラボへの便宜について異議申し立てを行う機会すらない。まずは新宿区の2020年9月、決算特別委員会のやりとりから役所とコラボの力関係を眺めてみよう。




2020年9月、新宿区議会より)


男女共同参画課の課長答弁によると「私もこの4月に着任以来・・・現地に行かせていただいておりますけれど・・・中に入って一緒にとか、そういったことはちょっとなかなかできなくて、代表の仁藤さんとお話しする機会少しございますけれども、ちょっと具体的な相談内容ですとか・・・お聞きする機会というのはちょっと今のところなくて、書面による報告によって把握している」という(一部省略)。つまりコラボのバスカフェを見たいと何度かいっても門前払いを喰らわされてきたということだ(書面というのは手書きの仁藤夢乃日誌(連載30回参照)のことである。)。


確認するが、開示された公文書によると新宿区でのバスカフェは土地代無料で新宿区が区役所の敷地を提供しており、区役所内のトイレもコラボが使用可能という破格の条件である。コラボは新宿区役所の敷地を「使わせてもらっている」のである。なのに敷地提供をしている自治体の課長を足蹴にするというのは、すごい根性だとしか言えない。


付言すると新宿区の男女共同参画課は、バスカフェの開催されている歌舞伎町からは離れた場所に庁舎がある(最寄駅は都営新宿線の曙橋駅)。徒歩で30分ぐらいはかかるので、それなりに来るのも大変だったと思うのだが、それを中に入れないというのは(マナーとして)どういう神経かと思う。バスカフェの開始時間も、日によって変わるものの基本的には夜の割と遅くである。なので夜の20時だとか22時などのスタートにわざわざ来てくれているわけである。


事務的なことだと役所はきっちりしているので、おそらく事前にバスカフェを訪問したい旨はメールや電話などで打診しているはずで、それでも入れなかったとすると、完全にコラボは役所に「マウント」をとっている(仁藤代表の好きな言葉で言うと「マンスプレイニング」を、コラボ側が行なっている格好だ)。ひょっとするとこの課長が男性だ、という理由で女性向けのバスカフェに入れなかったのかもしれないがコラボスタッフの稲葉理事は男性であるが普通にバスカフェに参加している。女子の相談場所でも、稲葉なら入れて新宿区の課長だとNGという判断の合理性は、筆者には見つけられない


次に渋谷区議会の2021年3月10日会議録を眺めよう。


田中文科員とあるのは、田中正也渋谷区議会議員である。一般社団法人であるコラボのことを「NPO団体」「NPO法人」と呼ぶなど勉強不足な面があるが、その発言を書き抜いてみると「私、Colaboっていう団体とちょっと話をする機会が、支援をお手伝いする機会があった・・・区としてそういうNPO法人への支援・・・DVに遭って家出をしてきた女性が緊急に避難をするシェルターなんかも、そのNPO法人の方は活用していらっしゃると聞きましたけど、でも不足しているっていうふうに言われています。そういう点でのいろんな支援というのを、区の方で強めていく必要があるんじゃないかと思うんです」という(一部省略)。


京都人のような言い回しだが①コラボが渋谷区からシェルターを提供されていること②そのシェルター施設の提供を強化するべきであること、というのが彼の発言要旨だ。しかし実はこの情報、情報公開請求では出てこないのだ。渋谷区の公務員に対する取材によると、渋谷区情報公開条例では6条4号で「公にすることにより、人の生命、健康、生活若しくは財産を侵害し、又は犯罪の予防、捜査その他の公共の安全若しくは秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報」(東京都の場合もほぼ同様の規定がある)で、DV用のシェルターなどの情報は不開示の運用だというーーーだが一方で、コラボへは渋谷区が無料で緊急シェルター貸し出しを行なっていたということも、裏付けがとれた。


田中区議の発言は、それだけ見ても何のことか分からないが、渋谷区職員への取材内容と併せて見ると、渋谷区がコラボへ無料でシェルターを提供していることは疑いない。しかしこれは財政民主主義の観点からは問題含みであって、シェルターの位置は公表が難しいとしても、せめて金額にしてどれほどの賃料相当額に値する物件を、どのような状況でコラボに貸し出しているかは、開示ないし公表の対象とするべきである。そうでないと討議に基づいた民主主義の統制(いわゆる財政民主主義の原理)が及ばない、コントロール外の「治外法権予算」が出来てしまう(というか、すでに出来ている)。


少なくとも田中区議(政治家なのに自分の「推し」がNPO法人か一般社団法人かという区別もできないほどに勉強不足な人である)にはシェルターの情報が伝わっているのに、一般の渋谷区民にその情報が行き渡らないというのはどういう理由によるものだろうか。ツイッターハンドルネーム暇空茜氏(以下、暇空氏)などは東京都に開示した文書の中で黒塗りがあった点について訝しく思ってられたが、その少なくとも一部は渋谷区からのシェルター貸し出しに関してのものと思われる(マスキングされていたところには「渋谷区長」「渋谷区」「区」といった感じの文言が入るのではないか、と考えられる)。


最後に、以上のような理不尽を可能にするのはーーー世間のイメージ通りにーーー議員のゴリ押しである。国会議事録でコラボ関係の予算を増額するよう、山添拓議員が念押しの質問をしていた件は連載19回で扱ったが、地方議会でもやはり議員の質問は予算を確保するのに有効である。

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(2022年6月の新宿区防災等安全対策特別委員会)


上の画像はコラボが、新宿区からの50万円の助成対象に入らなかった点について、共産党沢田区議が詰問している様子だ。知られている通り、一般に議会対応は公務員にとって準備が大変である。なのでこの質問は「次回からはちゃんと予算をつけないと、また区議会で吊し上げるぞ、という恫喝的な効果を公務員に対して持つ。


ただし東京都議会で2018年にコラボなどの予算額を質問して1000万では少ない、という趣旨を述べていたのは都議会で多数派(かつ知事支持の)都民ファーストの会の岡本こうき議員であった。このような質問者所属政党の変遷は、コラボの政治的立ち位置が(前回みた通り)、全方位外交の八方美人から、共産党支持へなぜか寄ったことを反映すると思われる。



都議会会議録より


以上、あまりニュース記事では注目されにくい地方議会(しかもローカル紙が事実上ないに近くて、また人口が多いために1つ1つの市区町村でのやり取りはカバーされることの少ない(またそれが故に、議員も脇の甘い言動を取りやすそうな)、都内の新宿区議会、渋谷区議会の会議録を扱ってみた。都市部は地方紙がないため議会チェックが甘いという説にも、まあ一理ある気はする(ただし地方でも、地方紙1社の独占体制になったり、また地方名士の一族が地方紙と系列テレビ局を牛耳っていたりすると、統制メカニズムは働きにくいーーかえって提灯記事が多くなっているーー可能性は保留する必要がある(この連載は続きます)。


*本件記事は仁藤夢乃氏の公正証書原本不実記載罪疑惑記事よりあとのリリースだが、話の流れ上「地方議会とコラボ」で続き物として扱った方が良いという判断から連載では34回とする(公正証書原本不実記載等記事は、35回になる)。


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【江藤貴紀】


 

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