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一般社団法人Colaboの分析(10) 学生運動から生まれた「政治教会」・・・農園=宣教場と宣言した牧師が特異な予備校講師として仁藤夢乃を導いた軌跡

2022年9月2日23時39分
カテゴリ:学術

一般社団法人Colaboの分析(10) 学生運動から生まれた「政治教会」・・・農園=宣教場と宣言した牧師が特異な予備校講師として仁藤夢乃を導いた軌跡

ここまでで、一般社団法人Colabo(以下、コラボ)が野党に持った政治的存在感、秘密主義的な組織運営について概観した。今回、第10回はその源泉として代表の仁藤夢乃もたびたび、恩師として言及し続けている河合塾コスモ(大検・高認コース)講師の阿蘇敏文がどんな人物かを見てみよう。資料としては、特に断りのない限り、阿蘇敏文著書の「現場からの道」(新教出版社、2005)による。


阿蘇敏文の著書という一次資料については、これまであまり顧みられることがなかった(全ての情報をネットで得ようとするのは、自戒を込めていうが、近年のメディアの非常に悪い癖である)。本稿では、彼の著書「現場への声」の情報をもとに、彼の人物像とコスモでの生徒との関わり、また他の市民運動や数多の行政訴訟から、彼の人物像とネットワーク、そして政治的・宗教的信念が仁藤夢乃へと継受されていった様子を、現在時点の資料と照らし合わせて素描する。


はてまず阿蘇敏文という人物は誰か。同人については日本基督教団が訃報として2010年7月に亡くなった旨を記しているほか、右派系からは単なる「左翼」(つまり右の敵)のように論難されることが多い。


左派であるという指摘に(時おり品のなさは気にかかるものの)積極的な誤りは、実は何もない。ただし補足するべき、単純化しない方がいい点があるので確認する。阿蘇氏は1940年に産まれて、実に様々な政治活動に関わっているが、まず彼の「百人町教会」の特殊性はよく言われる海外とのつながりだけではない。この教会は1970年に美竹教会(渋谷区)から分離独立して誕生しているがその理由は元の教会では「一緒に礼拝できないと決断して」であり、その理由は美竹教会の牧師が「学生運動に参加している自分の教科員の学生たちを恐れて、国家権力の象徴である警察を日曜の礼拝に導入しようと準備していたため」である(9ページ)。阿蘇の教会は発祥からして学生運動を契機にした分派の独立、という政治的なこと極まりない生い立ちだった。


また阿蘇について特に注目するべきは河合塾コスモでの「農園担当講師」という部分である。



(阿蘇敏文著書、著者略歴より)


これまでも仁藤は自ら、阿蘇牧師にコスモとの出会いを自分の出発点として「難民高校生」で始まる彼女の著書でも、あるいは近年のインタビューでも(リンク先はビッグイシューのもの)度々触れてきた。担当科目については明示しなかったものの、筆者を含めて一般には(国語か英語か社会、そのほか何か知らないが一般的な高認科目で大学入試にも出題される主要5教科を大まかに想定していたのではないか。しかし実態は、「農園担当」という名前で、よく言って自由選択の課外科目(もちろん大検ではそんな科目はない)、悪くいうとティーンエイジャー中心(阿蘇の著書によると、例えば2015年ぐらいのコスモ生参加者は15才から21才であったという)の若年者オルグ担当専従講師である。なおまた布教のためという面もあるかもしれないが、「布教」と「政治的オルグ」のいずれにせよ、予備校としては型破りもいいところだ(もし布教としてもその教会が、学生運動を契機に分離独立したものであることを考えるならば、阿蘇のキリスト教は政治と不可分なのだが)。


また項をくるとこの農園は河合塾コスモの誕生時から存在していた。すなわち河合塾英語化の松井道男講師の誘いにより阿蘇牧師は、このユニークな農園ゼミ講師として参加したという(*注1)。ゼミで使用していた畑は最初、鶴川(小田急線沿線、東京都町田市)だけであった。そして主に日帰りで農作業体験を行なっていたようだ。ただやがて2005年までに阿蘇氏は茨城県竜ヶ崎に「畑2反、田1反」の有機栽培無農薬の農場を開く。竜ヶ崎であった理由としては、知人からの紹介が挙げられている。だが阿蘇敏文氏が難民申請していた人々の支援を行っていたこと、入管法に基づく退去処分を受けるなどの理由で拘束された外国人は、拘置所や刑務所の代わりに牛久にある法務省の入管施設に収容されるところ、この牛久入管は竜ヶ崎市から、例えば車で10分ほどで極めて近いことからすると難民支援の活動拠点という意味合いもあったと思われる(*注2)。



(Googleマップより)


阿蘇に心酔した仁藤夢乃(2005年から2009年までコスモに在籍)は、この茨城の農場で阿蘇が行っていた泊まりがけの合宿へとやがて熱心に通うことになる。特筆するべきは牧師である阿蘇が「私の宣教の場は農場である」と著書に記しており、また食事の中に「聖餐」の要素を見出すとしていることだ。俗には「日本基督教団」に阿蘇が属していたことから、プロテスタントとされることが多いが、彼の立場は内村鑑三などの無教会主義者に近いものではないか。日本では内村鑑三は社会の教科書にもよく登場するのでノーマルと思われるかもしれないが、かなりキリスト教のあり方としてはラジカルである。ちなみに教会を持たないで誕生した百人町教会は2005年の時点でも「大久保にある日本キリスト教婦人矯風会の女子寮の食堂を日曜だけ借りて礼拝をし、今日に至っている」(9ページ)という(矯風会と仁藤は通じる点も大いにあるが、その相違については別稿に移す。)



(阿蘇著書の一部)


はて河合塾の高認門コスモは、失礼ながらその起こり枯らして、一昔前に聞いた噂話(地方出身の筆者にはよく分からなかったが)「新左翼系人脈が、予備校でオルグ活動をしている」のママであったのだ。そのおそらく最も著名な卒業生仁藤夢乃はコラボの活動を行うにあたって、信仰については明示しない。しかし彼女も食事は強く重視する。そして大事なのは何を食べるかではなく誰と食べるかである(これ自体は一般的にある考え方かもしれない)としたり、「少女たちとの関係性」が食事を通して出来上がることを強調する(「関係性」というのも、日常用語かはともかく、アカデミックな人文系の学問ではやや手垢がついたくらいにありふれた言い回しではある)。しかし彼女がふれる通りに阿蘇敏文との出会いが彼女の出発点であるとすると、家出などで彷徨う少女たちとの食事には宗教的「聖餐」のニュアンスがあり、たびたび登場する「バスカフェ」は移動教会の新バージョンだ。


こう考えると、仁藤およびコラボの活動のうち不可思議な面もいくらか説明可能ではないか。①まずJKビジネスやパパ活に対する目線ーー仁藤は参加者の実年齢を含むその内容に「関わらず」全てを買春と細かく区別した議論を避ける傾向にあるーーが極めて厳しく、それを形態がどうであろうとも「搾取」で括るのは食事が極めて神聖だからである。神聖である食の場、聖餐を金で誘って催すなどはこの上なく背徳的な行為というわけだ


また②バスカフェについて一部で費用対効果を疑問視する声がある(現在は月に2回、水曜日に新宿または渋谷で4時間ほどの開催。これでは回数があまりに少ないため食事支援としての意味が弱い、なのになぜそれを公費で支援するべきかといった指摘がある)。だが食事が宗教セレモニー(仁藤は「少女たちとの関係性」や「つながり」という社会学風な世俗の用語で煙に巻くが)だと考えれば合点がいく。自らが教会に拘らず極めてフリースタイルな信仰実践であったことを阿蘇は自認していたが、その後継者において日曜礼拝の代わりが水曜深夜の食事会であって悪い理由がどこにあろうか(阿蘇の百人町教会では日曜集会が、弁当をあらかじめ用意しての昼過ぎまで至るものであったという。これと仁藤のバスカフェ事業は相似形である。)。




しかし阿蘇牧師が仁藤夢乃のコラボに与えた影響の示唆するところについて考えると、その負の遺産も目にしないではいられない。すなわち、若年者を政治活動にオルグするという阿蘇牧師の行った行為である。未成年を大いに含む若い女性(彼女たちに対する仁藤の内面統制についてはまた別稿で述べる)らに声をかけ、場合によってはコラボの活動に組み込むという仁藤の行為はちょうど2005年から2009年にかけて阿蘇牧師がコスモで仁藤らに行ったことの繰り返しである。


若年者を宗教勢力や政治勢力が早期にリクルートして身内に巻き込むのは、「禁じ手」であると筆者は思う(宗教で言えば信仰の押し付けによる2世問題になるし、またネットにおける右派の政治活動ではニコニコ動画の強制アンケートを使った思想誘導事例について以前に記した)。相手方の判断力が十分でない間に、都合のいい兵隊を少年兵の如く作り出すわけでそこには自由意志が働く余地がない、あるいは極めて少ないからである。


ところが仁藤はその出発点ーー自らが阿蘇牧師に教化された高校2年生相当の頃のでありーーからも若年者オルグを否定はしないしできないのではないか。若年者への働きかけを否定することは、自らと阿蘇氏の出会い、とどのつまりは恩人阿蘇氏の否定につながるからだ。記事執筆のためにコラボの活動記録を読んでいると(基本的には団体側の公式見解で広報の内容であるとはいえ)取り組みの一部には肯定できない面もないではない。ただいつまで経っても、目的が正しければその手段として何をやってもいいのか、という違和感が拭えない。


また政治活動と海外との関係に関していうと、阿蘇が築いた国際ネットワーク(韓国、フィリピン、ネパールなどとの交流が特に盛んであった)からいうと仁藤夢乃の活動範囲は、ほぼ阿蘇の活躍した範囲と重なっている。この海外とのネットワーク網は仁藤とコラボが今も「正嫡」として阿蘇から受け継いでいる遺産である。


現在の百人町教会と仁藤の関わりについては明確ではない。だが、2015年の百人町教会が作成したリンク先資料(読書会や勉強会の使用図書と思われるが、そのほかの情報が欠如していて確信は持てない)の中で、数々の定評ある作家や作品に混じって仁藤夢乃の難民高校生がある点からすると、少なくとも教会は仁藤夢乃とコラボへ一定の評価を与えていることが推認できる。ということは、阿蘇の政治的遺産も当然に仁藤に相続されたはずである。



(百人町教会サイトを「仁藤夢乃」でサイト内検索した際に出てきた(唯一の)文書)


阿蘇がいかに政治的であったか、またその存在感がどれだけ大きかったかについて最後に触れる。これは本人の著書(16〜17ページ)によるが三里塚空港建設阪大運動にも教会は積極的に取り組んだとされ、靖国国営化反対運動、中谷自衛官合祀訴訟、津地鎮祭意見訴訟、韓国人BC級戦犯裁判などが判例としてはあり、他にも指紋押捺拒否運動、教科書問題、大嘗祭、PKO法案、日の丸、君が代、原発問題などに取り組んだーーその際の集会では「百人町教会教会員が参加者の10パーセントを占めることもよくあった」という。以上、まるで戦後の左派政治運動史のようであるが、これら事件についての阿蘇氏直伝の、愛弟子仁藤夢乃への教育は後年の彼女をしてメディア関係者や政党関係者と語らしめた際に、その「本格派」ぶりに歓心を呼んだことは疑いがない。


*注1:松井道男氏は、いかなる意味においても本格派で、教育者としては私立中高一貫校で広く使用されているニュートレジャーのオリジナル「トレジャー」の開発者である。ただ松井氏はニュートレジャーについては距離を置いた書き振りをしている。知っている人は知っていると思うが、このトレジャーシリーズは「ついてこられるやつだけついてこればいい」、という感の作りだ。だが中高一貫の上位校での英語教育に与えた影響は絶大であり、トレジャー執筆というのは国内英語教育者としては最大クラスの影響力を持つ仕事である(ただ奇遇だが、江藤はこのトレジャーを始めとする検定外教科書の使用に対してかなり批判的(リンク先はハーバービジネスオンライン記事魚拓)である)。またジャーナリズムの仕事としては「戦後70年〈パネルDジャパン〉秘史米国公文書館」という米国公文書館の機密解除文書を用いて日米関係史を記したものなどある。


*注2:実際10代の仁藤夢乃も彼らの在留資格、特にクルド人とフィリピン人一家の行政訴訟に関わって裁判の傍聴や署名活動に従事したことは第8回で述べた。農園合宿からそのまま入管をーー外観だけでもーー見学するのも可能である。また阿蘇氏の農園には国籍にして20カ国ほどの外国人が、人数で言うと200人ほどが訪れていたとある。そのうち相当部分は牛久入管での被収容者との面会をした者であったのではないか(実際、難民関係者が阿蘇氏宅を訪れたーー例えばそして本場のケバブを調理してくれたーーむねの記載が阿蘇の著書にはある)。


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