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大阪の自民党地方政治家 自己の政党支部宛に4943万円を寄付して節税経理 なお報道後は激減

2015年7月17日15時23分
カテゴリ:地方

大阪の自民党地方政治家 自己の政党支部宛に4943万円を寄付して節税経理 なお報道後は激減

大阪府の地方議員ら及び泉佐野市長の千代松大耕氏らが、2011年から2013年の間に自分で代表を務める大阪府内の自民党支部へ4943万2000円の政治献金をして、所得税や住民税を控除できる処理をしていることが分かった(ただし、後掲リンクのように、中野区だけで1億2403万円を寄付して、都内全体では10億以上を自己の政党支部に寄付している東京自民党に比べれば可愛い額である)。


従来の記事と繰り返しになるが、これらの自民支部は自分が代表の政治団体なのでお金の使い道は自由に決められるが、地方議員の政党支部ならば5万円未満の支出について記載義務がない。いっぽうで租税特別措置法は政党支部への寄付による税金の控除を認めているため、実質上税金だけを減らして自分のポケットマネーを作ることが出来るという問題がある。


まず、平成23年(ここをクリックで大阪府選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書のページにジャンプ可能)を見ると池田支部では代表の木下克重市議が6万円と小ぶりな献金。茨城支部では代表の中内清孝氏ら、市議会議員5人が10万円ずつを寄付しているが、出口について明細の載っていない支出が多いことから、寄付した議員らが寄付金控除の枠だけ増やしてキャッシュバックが可能である。



また、大阪市住之江区第一支部では高野伸生市議会議員が70万円、大阪市中央区第一支部では府議を努めていた梅本憲史氏が1400万円(大阪府自民党所属地方政治家の、1人あたりの寄付額としては最大である)を献金。大阪市西成区第二支部では市議会議員の柳元顕氏が50万円が自分が代表の自民支部へ寄付している。なお、大阪市平野区第三支部では、税理士でもある新田孝代表が500万円を寄付するとともに、同居の親族2人も500万円ずつ寄付して合計1500万円を控除対象とするという、税理士らしい処理が見られた。


他にあげていくと、大阪市福島区第一支部では酒井豊大阪府議が380万円、堺市第十三支部で西村昭三堺市議会議員が300万円、大阪府守口市第五支部では池嶋一夫市議会議員が22万円、四条畷支部では橋本昇治代表が38万円、高槻支部では吉田利幸府議が64万7000円、寝屋川支部では北川法夫氏が20万円、大阪市東淀川支部では床田正勝市議会議員が12万円をそれぞれ代表者の自分自身が自分の団体に寄付していた。


以上を合計すると、親族や関係議員の分を除いても、平成23年の自民党所属、大阪府地方政治家の寄付額は2882万2000円となる(これでも、後掲リンクの東京自民党に比べれば随分と控えめな額である)。


また平成24年(リンク先参照)は池田支部で木下克重市議が6万円(ただし前年もだが、他に会計責任者の細井氏をはじめとする、3名の市議も同額を寄付していて、あと全く使途が分からないので、複数人のための節税場所にすることもできる)を代表者自ら献金。


そして佐野市第一支部では現職市長の千代松大耕氏が100万円を自己の政党支部に献金していたが、これは議会で問題にならないのだろうか。

  

(市長が現職時代に寄付をしているのは筆者も初めて見た。市民税課の職員の士気がとても落ちそうである。)


自分の自民党支部宛に、代表者が寄付している例を続けていくと(余りにハイパーリンクを張るのが大変なので、今回は政治資金収支報告書の一覧が載っている大阪府のページだけで勘弁願いたい)大阪市住之江区第一支部では市議の高野伸生議員が70万円、大阪市中央区第一支部では代表の梅本憲史氏が490万円、大阪市鶴見区第三支部では坪井瑞穂氏が60万円、大阪市西成区第二支部では柳元顕市議が35万円、大阪市福島区第一支部では酒井豊大阪府議会議員が250万円、堺市第十三支部で西村昭三堺市議会議員が350万円、大阪府守口市第五支部の池嶋一夫市議会議員が55万2000円、河内長野支部に井上智史学氏が10万円、四条畷支部で橋本昇治代表が40万円、大正区支部は舟戸良裕氏が70万円、高槻支部には吉田利幸府議が75万円、大阪市東淀川支部では床田正勝市議会議員が12万円、守口市では池島一夫市議が12万円を寄付していた。以上を合計すると、1645万2000円になる。


ただし、次の平成25年に大きな変動があり、大阪府内の自民党地方議員の自己宛寄付は、本人分だけだと416万円に留まって前年までと比べて激減している。


実は、平成25年には4月に自民党の府議だった維新の議員が370万円の環流処理をしていたことが報道されて日本維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)が「政治家の特権階級という疑念を国民に持たれないようにするべき、と述べており、大阪の地方政治家に「これはマズいな」という意識が広まった可能性がある。なお、政治資金収支報告書の提出は翌年の2月であるため、この件をうけて25年分の政治資金収支報告書では寄付を少なくする処理は可能である。


すなわち平成25年(リンク先参照)の政治資金収支報告書によると、代表者が自分の自民市部に寄付した内訳は、西成第二支部で大阪市議会議員の柳本顕(やなぎもとあきら)氏が45万円、大津支部で中谷昭氏が3万円、堺市第十三支部で西村昭三堺市議会議員が300万円、四条畷支部では橋本昇治代表が45万円、大正区支部で舟戸良裕氏が12万円、高槻支部では吉田利幸府議が12万円、東淀川支部の床田正勝氏が2万円、守口支部では池島一夫市議が12万円大阪市鶴見区第三支部では坪井瑞穂氏が30万円である。(なお、坪井瑞穂氏と同居の坪井一守氏はもっと派手に207万2732円を寄付していた)。


この平成25年における大阪自民の自分あて寄付額の激減からすると、東京その他のの自民議員らについても、自分の政治団体宛寄付で節税しているという問題の記事を書き続ければ、「スキャンダルになるから止めよう」という風に変化が起きる蓋然性が高。(とはいえもともと、大阪府の自民党地方政治からの自己宛寄付は、後掲記事のように10億1492万3059円を自分が代表の自民党支部宛に寄付していた東京自民党と比べると20分の一にもならず、非常に可愛いものであった)。


ちなみに筆者が取材した一部の政治家からには「現行法では違法ではない、どちらかというと政治活動のために使っているかどうか、使途の適切さが大事でしょう」という声があったが、大阪府で報道後に寄付額が激減した事例からは、個人個人はともかく議員全体としてやはり節税目的の場合がメインだったという証左になる。実は早い話、ポスターだろうと選挙カーだろうと、何か必要な支出があれば、いったん政党支部に寄付しなくても直接に自分の財布から出せるわけである。


なのにわざわざ自分が代表の政党支部に寄付をすることの合理性は非常に薄く、東京自民党のように一度政党支部に寄付して翌日に自分へ同額を寄付する議員がいたりとか、あと毎年400万円以上を寄付していてその団体には他の収入源も全く無く使途も全て不明な議員がいたりするのは、節税以外の理由が見当たらず、限りなく黒に近いグレーと思われる(ちなみに寄付した翌日に自分に戻すのはマネロン以外の何物でもなく、控除の申告に対しては想定の範囲を超えた異常な運用であるとして、税務当局から否認されて追徴課税をうけたりするリスクがある)。


なお一応だが①自民党の東京と大阪の違いによる地域比較および②報道が与えたとおぼしき影響についてはこれで考察できたので、次回以降は他の政党を当たることにする。


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【江藤貴紀】


 

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