新宿区と港区の自民党地方議員らが、おのおの自分で代表を務める自由民主党の各支部に寄付をして、寄付金のうち最大で30%が控除可能な経理をしていることが分かった。寄付金の総額は2856万円。地方議員の政党支部では5万円未満の支出について、明細の報告義務がないため、使途がブラックボックスとなる問題があり、一般人には出来ない節税が可能となる。
まず、秋田 一郎(あきた いちろう)都議会議員(在職期間平成13年7月23日から平成21年7月22日、平成25年7月23日から現在まで)が、自己の自由民主党東京都新宿区支部へ平成25年が111万1908円、24年が20万円、23年が100万円の合計231万1908円を寄付(この期間は選挙に落ちておられたこともあるが、やはり選挙資金の準備のために別で得た所得の控除を出来ることには変わりない)。
また、下村治生(しもむらはるお)新宿区議会議員が、平成25年に108万円、24年に108万円、23年に自由民主党新宿区第四支部へ98万円(他に、都に報告された政治資金収支報告書を見ると、同じ下村姓で一緒にお住まいのかたが12万円を寄付している)、これで合計すると314万円が総額。
小倉利彦区議が自由民主党東京都新宿区第七支部へ平成25年に40万、24年に40万、23年に30万の合計110万円を寄付(その他に下図に出てくる、同じ小倉姓で同支部の会計責任者を務める小倉喜文氏も25年に40万、24年にも40万円を寄付している)。
自由民主党東京都新宿区第九支部では、代表の吉住栄郎(よしずみはるお)区議から平成25年に20万円の寄付、24年にも20万円の献金をしていた。また、23年には自分で30万円を寄付して節税を可能にした後に自分の選挙事務所に50万円を寄付するというアクロバット処理をしていて、合計額こそ110万円だが面白い。
現在、新宿区長を努める吉住健一氏は議員時代に自由民主党東京都新宿区第十六支部へ、平成25年に5万5895円を寄付、24年に150万円、平成23年は50万円だったの寄付で合計220万5895円である。
(いずれも吉住区長の議員時代、政治資金収支報告書より。いったん自分に寄付をおこない寄付金控除の対象として、そのお金をまた自分の選挙活動費として自分個人に環流するという離れ業をやってのけている。)
さらに、自由民主党東京都新宿区第十七支部では、樋山真一(ひやましんいち)新宿区議会議員が23年に40万円を寄付していた。
次に、東京都港区では平成23年はこのスキームが無かったものの、24年になってからこの処理が見られた。
まず、来代勝彦(きたしろかつひこ)東京都議会議員が、平成24年に自分が代表の自由民主党東京都港区第八支部へ190万円を寄付。平成25年には661万円の高額寄付で、総額851万円を献金処理していた。
(東京都選管のウェブサイト掲載・政治資金報告書を参照。与謝野馨氏の名前も寄付者に見られる。)
そして菅野弘一(かんのこういち)議員(当時)は平成25年に100万円を自己が代表の支部に寄付していた。
これらを合計すると、①今回明らかになった分で2526万円となり②今まで、他区で判った分と合わせて、2億3040万0529円が、不透明な節税処理の対象となる。なお、新宿区の吉住区長は首長としては自分への節税対象となる寄付額が、コレまででダントツである。
以上の各区の、政治資金収支報告書(東京都選挙管理委員会HPに掲載)は、この下のリンクから閲覧することが出来る。
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【江藤貴紀】