服部征夫区長および、台東区の自民党議員ら台東区の地方議員7人が、自身が代表を務める自民党支部に、平成23年から25年にかけて7148万円を自分で寄付して、各々がそのぶん最大で30%を自分個人の所得税や住民税などの控除対象と出来る会計処理をしていたことが、東京都に提出された政治資金収支報告書から分かった。
まず、今年3月に台東区長として当選した服部ゆくお氏は、平成23年から同25年の都議会議員時代に合計36万円を自身が代表の自由民主党台東総支部へ寄付。
次に寺井康芳台東区議は、自由民主党東京都台東区第八支部に平成23年に440万円、24年に478万円、25年に485万円で合計1023万円を寄付。
(政治資金収支報告書より)
これで寺井議員は、所得税と住民税の寄付金控除は最大で3割の節税が出来るところこの3年間のみで300万円強の税金を控除することが可能な処理をしている。
同じように太田雅久議員(現、台東区議会議長)は自由民主党東京都台東区第十六支部へ平成23年に360万円、24年に380万円、25年に390万円と、毎年順調に増加を続けて合計1130万円を寄付して、やはり最大で339万円の寄付金控除が受けられる会計処理を実施。
和泉浩司区議は、自由民主党第東京都台東区十七支部へ平成23年に550万円、24年に500万円、25年に420万円で合計1470万円を寄付して節税対象となる会計処理をとっている。
そして自由民主党東京都台東区第十八支部では平成23年に、代表を務める高森喜美子議員が150万円を寄付。同じように24年と25年に170万円ずつで(なお、この年にこの自民党支部へ寄付したのは高森氏、本人だけである。)490万円を寄付。
(高森喜美子議員のウェブサイトより。生活者の実感を政策に反映し、誰もが住みよい地域社会を、皆様と共に創って行きたいと思います、とのことである)
次に石川義弘台東区議会議員(歯科医師さんでもあるので、かなり収入はありそうである)は平成23年に500万円、平成24年に500万円、25年に590万円で1590万円を、やっぱり自分で代表している自由民東京都党台東区第十九支部へ寄付しており、自分で自分に寄付した政治家としては、台東区でとなっている。
鈴木純区議は、自由民主党東京都台東区第二十五支部へ平成25年に310万円、24年に300万円、23年に200万円で合計810万円を寄付。
最後の1人として、望月元美区議が平成25年に150万円 24年に70万円、23年に50万円で合計270万円を自身が代表者の自由民主党東京都第二十六支部へやっぱり寄付している。
しかし、例外的にこのアクロバティックな会計処理をしていない議員さんも居て、自民党でも石塚猛区議、村上浩一郎議員はこの処理を行っていない(この点、他の議員さんより評価されるべきと思う)。
なお、電話で確認できたところ寺井議員は「寄付金控除は毎年受けている。」、和泉浩司議員のばあい、事務所スタッフさんが「自分では分からない」「本人がいつ帰ってくるかは分からない」と返答。石川義弘議員(歯科医師)の事務所は「やっている」ということだった。しかし、下記の通り傍目では実は節税したのかどうか、確認自体が完璧には出来ないという事情が存在する。
というのは、以上の通り複数人からはからは寄付金控除をあっさり認めてもらえた(電話の応対からして、それほど問題とは考えていない風だった)が、税務処理を各政治家・議員がどうやったかについては、外部から分からないという問題がある(現行法上、公表義務がないし適当に答えた場合も法律上は罰則がないからである)。にも関わらず、地方議員や首長の政治団体収支報告書は、5万円未満の支出について領収書添付・報告義務がない。
つまり、「すべての支出は小口で、それぞれ5万円未満」と言い張れば、使途が全く不明な使い方が出来る。そして、団体代表者は政治家自身なため、自由自在に使途不明金を作り出すことが出来るという、地方政治家とそれ以外の間の、税の不公平問題が存在する(その分、議員の実質的な可処分所得は額面嬢の報酬より多くなる)。
これで、前回報じた文京区の自民党地方議員と今回の台東区議分をあわせて1億1188万円が、地方議員の節税処理の対象となっている。
なお以上の政治資金収支報告書は、この下にある東京都選挙管理委員会のリンクから閲覧することが出来る。
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【江藤貴紀】