一般社団法人Colabo(以下、コラボ)の分析ではコラボの秘密主義的な部分(団体の拠点はなるべく伏せるとか、ブログを削除する、メディア掲載歴も一部を隠すなど)について触れてきた。今回は仁藤氏が師と仰いでいる阿蘇牧師(河合塾コスモの講師という立場で仁藤氏と接触して政治的に仁藤氏を感化した)というーーコラボのいわば文化的源流とも言える人物が祭司を行なっていた教会、百人町教会と、さらに現在の興味深い牧師の人物像などについてお伝えする。
(百人町教会のトップページ。ただ訪れただけだと阿蘇氏の姿はないが・・・)
阿蘇氏は2010年に亡くなっているが、それより前から百人町教会主任牧師の座を賈晶淳(カ・ジョンスンと読む。英語読み、ハングル読みはそれぞれ Ka Jungsoon , 가정순 である)氏に譲っている。百人町教会の機関紙「ろば」やホームページの英語版、またウェブサイトのオーナー情報を示すサービス whois domain toolsなどによると、英語読みは「Jungsoon Ka」である。国籍は韓国人という。語学に優れるほかコンピュータも巧みに操る(ホームページも彼が運営しているかは分からないが、少なくともwhois登録の住所は、教会機関紙にも出てくる牧師が使う市ヶ谷のマンションの一室である。ここは防衛省本部の敷地からも徒歩8分ほどの好立地にある。)
(「アクセス」や「sitemap」などをクリックすると、トップページでは見えなかった教会墓地や先代・阿蘇牧師が茨城に有していた「ASOハウス」の地図などが出る。「求めよさらば与えられん」というところか。なおASOハウスは車で、牛久入管から20分ほどの距離に位置しており、阿蘇氏の存命時は世界各国からの来客が、仁藤氏をはじめとする若年の大検(高認)受験生らとも交わったという。)
まず百人町教会は決まった物理的教会を持たない。これは、信仰において建物は本質でないという考えにも基づくという。日曜の礼拝では「キリスト教矯風会」の敷地を使っていたというが、使用する建物はそのかなり広い一角の敷地の中でも時期に応じて変化して、まるで隠れキリシタンのように移動しながら信仰を続けていた。すなわち同じ団体の施設でもあるときは寮の一部を用いたり、またあるときは裏手にある2号館のような建物を用いたりしていた。なお矯風会の北方で寮が存在した裏手側は、見晴らしのいい道路沿いの場所にあり異変があるとすぐに分かる地形である。
(矯風会館のメインビルディングを敷地南から撮影したもの)
ちなみに現在でも新宿区百人町のこの一角は名前の酷似した、素人目には関係もよく分からないキリスト教系団体が多く密集している。付近にはビジネスホテルなどを名乗る施設が数多いが、旅館業法上のホテルなのかそれとも風営法上の許可によるいわゆるラブホテルも判然としないような物件が数多く、人の出入りについてはいくらでもカムフラージュできるようになっている。先代の阿蘇牧師は、額面通りにその著書を読むと、本当にCIAに監視されているような人々(少なくとも阿蘇氏はそう主張していた。例えばムスリムで国籍はフィリピンであったり中東であったり、ハワイの米軍基地に対して反基地運動をしていたハワイ系先住民であったり、いろいろ)含めて世界各国の本当に複雑な事情を抱えた方と積極的に交流していたというので、それもあっての場所選定だったのだろう。
(矯風会の裏手、北側からの撮影。かつて第2会館などがあった。時には学生寮でも百人町教会・日曜礼拝は行われた)
近年は礼拝場所を変化させて、高田馬場駅近くの専門学校建物を使用しているようである(さらに場所を変える時も、あるのかもしれない)。礼拝の模様は音声ファイルのみがホームページへ毎回アップされ、顔写真など不要な個人情報は出さない。機密保持のノウハウの一部(例えば機関紙によると2015年に百人町教会はホームページURLを変えているが、コラボにおいても一部のページURLを途中で変更して魚拓での追跡へバリアを築いている)はコラボに受け継がれた面があるかも知れない。
百人町教会の関係者は、とても知的水準が高いようだ。50名ほどの信者のうち(時期によって変動はあるが)韓国語の通訳ができるのが4名に翻訳が可能なのが6名である。英語であれば6人が通訳ができる(阿蘇敏文著「現場からの道」、P250)。また語学ではそのほかにイタリア、フランス、ドイツ、セブアノ、シンハラ(スリランカの公用語)、タガログ、中国語等の話者がおり、弁護士としては、今村嗣夫氏小池健治氏の2人が在籍。大学関係者では、立教大学教授などをつとめた木田献一氏や、慶應大学の野球部部長で数学者(理工学部の教授)である前島信氏、山梨英和大学助教授などをつとめた金井美彦氏、内海愛子氏(恵泉女学園大学名誉教授)の所属が確認できた(阿蘇、P309)(その他の関係者については注に譲る)。
(機関誌「ろば」100号より。政治と宗教を直結させた教会の、議論の様子が伺われる)
このように極めて優秀な人々だが、彼らが安全保障に敏感になった由来としては、教会の成立経緯へ触れなければならない。この教会は1970年に渋谷の美竹教会にいた一部の信徒が、学生運動に対する警察官の動員を教会で行うことに反発して誕生した政治的分派のキリスト教教会である。そのため、部外者へは相応の警戒心を有していたと考えて良い。ただ阿蘇氏の電話番号はある時期には03-3333-9099という極めてキリのいい番号になっており、電電公社などにもツテがあったのかも知れない。
(住所でポン、2012年版より。上の番号を教会向け機関紙に阿蘇氏は載せていた。下の9099のような並びは、キリスト教だとなんとなく敬遠されそうな数字の並びだが、思うところあってこの番号を使っていたのだろうか)
話をカ牧師に戻そう。彼について調べてみると共著に「北朝鮮の危機とキリスト教」(富坂キリスト教センター編)があり、その執筆者紹介によると1956年の韓国ソウル生まれだ(教会ホームページなどには出生地や誕生年は載っていない)。阿蘇氏の著書によるとカ牧師の妻、朴美卿氏とその長男である賈煕俊氏(機関紙ろばによると1996年の8月または9月時点で5歳とあるので1990年〜1991年生まれ)も、少なくとも日韓2ヶ国語のバイリンガルである(カ牧師の家族が、先程の韓国語通訳者にカウントされているかは、阿蘇氏の著書の書き振りからは判然としない)。
(カ牧師の執筆箇所目次部分と執筆者紹介ページ。北朝鮮関係で有名な重村智計氏もいるが、仁藤氏が中高で通っていた恵泉女学園関係者が6人中2人というのも、やや目を引く)
ちなみに彼の取材、執筆部分は1998年から2003年にかけての3回、中国の東北部(行政区域でいえば吉林省で、朝鮮族(中国在住朝鮮系住民)の多く住む延辺地方で、中国と北朝鮮およびロシアの国境エリア)において現地で協力者と共に、北朝鮮を脱北して中国に入国した人々らに援助するなどもしつつ、北朝鮮の当時の食糧状況と政治情勢を探る、というハードコアなものであった。現地にハングルが多い(これは実際、そうである)ことが取材活動を随分と楽にした旨をカ牧師は述べておられたが、中国語もやぶさかではないのかもしれない。
(カ牧師の執筆箇所。上は中国公安の目をかいくぐって牧師が撮影した脱北家族の写真で、下方は「豆満江」(北朝鮮と中国国境の川)から撮った北朝鮮である)
カ牧師は取材をしながらも幾度となく心を痛めて涙を流したというが、食糧危機問題から帰納して北朝鮮の情勢を簡潔に分析するスマートな頭脳も持つ。すなわち一般に、国家による食糧配給システムとは、それが北朝鮮最高指導者であれ天皇であれ、国家リーダーを最上位とするヒエラルキー構造の維持と人々の地理的定着という社会の安定に結びついており、その機能不全は国家体制のさまざまな側面での揺らぎにつながっていると彼は報告をまとめている。
(敷地南側から見た矯風会の掲示板。辺野古反対の印刷物などあり、政治色はこちらも強い。歩道に向けた監視カメラが目を引く)
日本国内でも牧師のフットワークは軽く、韓国内の一部にもその名は知られているようだ。2001年に韓国ポータルサイト大手Naverなどに配信されたニュース「イ・ギョンヘ全北道議員「神社参拝りんご」16日目の断食座り込み」(原題は韓国語。ここを含めハングルからの翻訳はGoogle翻訳による。)にも登場。当時の小泉純一郎首相が行った靖国神社参拝に抗議して日本で座り込みをした韓国人の李京海氏へ支援へ訪れたという(なお、この李京海氏は2年後の2003年にメキシコで行われていたWTOの会議へ抗議して自殺したと報じられている)。
(Naver配信のニュース報道を日本語に機械翻訳した一部)
カ牧師はいろいろ異色なものの、これだけ能力が高ければ、いろいろな国のいろいろなところからいつリクルートの話が来てもおかしくない水準だ。ただあくまで、彼のポジションは牧師である。百人町教会のメンバーは50名ほどで、日曜に礼拝するのはおよそ25名ほどーーさほど大きいとは言えない教会の牧師として、彼は祈りを捧げる。
注:彫刻家で著名な、掛井五郎氏と同姓同名の人物も機関誌「ろば」で在籍歴が確認できた。なおカ牧師も立教大学で非常勤講師をつとめており、今村嗣夫弁護士も大学で非常勤講師の経験がある)。なお、在籍者の情報はいずれも機関誌のバックナンバーと阿蘇氏の著書によるものであり、今現在の在籍を直ちに意味するものではない。また仁藤夢乃氏がこの教会の礼拝に積極的に参加しているかは不明である。
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【江藤貴紀】