元2ちゃんねる管理人である、西村博之氏が金融庁の宣伝動画に出て話題となった(2022年8月24日、YouTubeへ公開)。
(金融庁リンクより)
一部では、あるいは多くの方が、西村博之氏の過去・・・具体的には2ちゃんねる管理人だった時代に受けた損害賠償請求に対しての態度などから不快感を示した。例としては①多額の賠償請求を、強制執行の潜脱スキームで踏み倒したこと、つまり脱法行為の体現者ともいうべき人物を、他ならぬ銀行行政などを統括する金融庁がその宣伝動画に使ったことが不適当この上ない②賠償金を踏み倒された、被害者の気持ちを冒涜する行為だ、というものなどである。
はてでは西村氏とはどのような契約内容で、政府の広報宣伝映画に出演することになったのか。情報公開請求をしてみたところ、契約書は「なし」だ。つまり口約束で政府の広報になっている。
(情報公開請求への決定通知書)
金融庁の決定通知書にある不開示とした理由によると、動画への出演について謝金支払いはないので、契約書も必要ない。だから契約書は作っていないという。すなわち「動画作成は民間企業に業務委託を行っているが予算決算及び会計令第99条1項第7号に基づく随意契約による調達を行っている」そして今回は「その「第100条の2第1項第1号に定める契約書の作成を省略することができる場合」に該当するというものである。
確かに同法をみると「随意契約によることができる場合」として「第九十九条 会計法第二十九条の三第五項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。とあり、その7号で「工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。」とあり「第百条の二 会計法第二十九条の八第一項ただし書の規定により契約書の作成を省略することができる場合」の一つとして「第七十二条第一項の資格を有する者による一般競争契約又は指名競争契約若しくは随意契約で、契約金額が百五十万円(外国で契約するときは、二百万円)を超えないものをするとき。」が「契約書の作成を省略することができる場合」となっている(なお72条1項は、指名競争入札の資格についての条文)。
この理屈、表面的には法律に適合していそうだ。また出演料タダは税金を節約できるだとか、役所の中の人の気持ちとして契約書なしの方が決済が楽という点もあるだろう。
ただ役所の宣伝に何かを使うというのは(それが文化人であれ、芸能人であれ、はたまた漫画のキャラクターなどであれ)、公的機関が「問題のない」存在として通用させるという意味で、宣伝に使った相手方を「持ち上げる」効果があるのだ。とすると、誰でも問題ない人というわけではなく、むしろ西村博之氏は問題含みの人物の一人ではないか。金融庁の監督下にある銀行業などは箸の上げ下ろしまで指導されるというが、仮にメガバンクが西村氏を出演させたノベルティグッズを作ったら大目玉を受けそうである。
国や自治体などの主張は、政府言論(ガバメント・スピーチ)と呼ばれることがあるーーーそれはそれで合理的な裁量の範囲で行って良いものかもしれないが、物には限度がある。裁判で争えるような内容でもないので「政治責任」になると思うが、この金融庁長官や担当課は大いに国会で追及されるべきーーーそれがないなら何の国会か、と筆者などは思う。
なお西村博之氏は、見方によっては「政府のエージェント」のような活動をしている。10月3日のツイートではすなわち辺野古ゲートの座り込み現場前に出向いて反基地運動の「やっていない時間」の写真を撮ってアップしている。またその後、そこで激昂している運動家の動画を(出演しているネット番組局経由で流すことで)、左派運動家の印象ダウンをとても効果的にやってのけた。
(Google画像検索結果より)
ちなみに、いま当サイトで好評特集連載中の仁藤夢乃氏は、そのあと10日もしないうちに西村博之氏の直後にいてもたってもいられなくなり、沖縄の辺野古ゲート前に行って抗議活動に参加した旨をアピールしている。そしてその普段の仁藤夢乃氏が行なっている言動からくる「仁藤アレルギー」を、結果として、沖縄の反基地運動に結びつけることとなり、「基地運動反対派」のマイナスイメージを醸成した。
コロナ禍で久しぶりの参加となってしまいましたが、6回目の辺野古での抗議行動への参加。現状を案内して伝えていただいた渡瀬さんが今日の抗議行動の様子を記録してくださいました。私がごぼう抜きされる瞬間の動画も。
国は私たちの税金を使って何を守っているのか。https://t.co/8OqRSldUOY https://t.co/Qjh53Ufko3 pic.twitter.com/54nXeRjsS0
— 仁藤夢乃 Yumeno Nito (@colabo_yumeno) October 11, 2022
違法、脱法行為を散々したにも関わらず、大手を振ってテレビを含む大手メディアに出ている西村博之氏。そして、まるで自分は逮捕されないかのような自信を持って、東京都と極めて粗雑な内容で業務委託契約を締結して、数千万単位の委託料を受け取っている(しかも経費として計上した費用が妥当か、極めて怪しいと言われている)仁藤夢乃氏。
この2人は、違うようでいてとても似ているのではないか。一方は冷笑芸を用いて左派の印象を下げ、またもう一方は「話の通じないフェミニスト」風の言動でまた野党と左派の印象をダウンさせる。
肩やひろゆき氏は霞ヶ関、金融庁の宣伝動画に出演して公人性をアピールして、また仁藤氏も霞ヶ関での政策検討会に有識者と呼ばれて公人の「ハク付」に成功している。そして連続しての沖縄行き、である。霞ヶ関と辺野古ゲートの2地点両方に、今年の10月に行った人物というのはどれだけいるのか、GPS情報でも知りたいものである。
旧エコーニュース時代も含む関連記事として、以下のものを挙げる。
日本ネット界の勢力を一夜で逆転させた人物とは———2ch新管理人 ジム・ワトキンス氏 独占ロングインタビュー(2014年記事)
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【江藤貴紀】