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現在の統一教会（現・世界平和統一家庭連合）本部（住所：渋谷区松濤１ー１ー２）が、栄光ゼミナール創業者が所有していた土地からの分筆手続きで登記されたこと等が、登記簿と過去に発行された地図の突き合わせで分かった。統一教会の最初の本部は、同じく渋谷区の南平台にある岸信介邸の横であったことが報道されている。
（１９６２年時点発行の「東京都全住宅航空地図帳」にある渋谷区松濤の模様。「旅館こだま荘」右で「ホテル山王」上の黄色い区画がやがて統一教会の本部となる土地。だがなぜか住所表示が、「渋谷区松濤１番７号」に化けている。この土地については以前の地図を見ても住所変更などはなかったため、ミスなのか人為的に変えたのかは不明。）
（株式会社東都地図社による１９６９年の地図。こちらでは旧統一教会の本部に「John W Kino」や「全国原理研究所」の表示がある。この時点で区画南の田中家下に「栄光ビル」の表示があるのに注目されたい。住所表記は「渋谷区松濤１丁目１番」と正しくなっている。）
（１９７７年の「東京都全住宅航空地図帳」より。田中家北に「John W Kino」と「KK」「東京教会」との表記がある。田中家の下には「栄光ゼミナール」が「栄光ビル」に入っている様子が確認できる。ただし住所が「渋谷区松濤１丁目７番」ということに相変わらずなっている。）
（１９９１年の「ゼンリン」地図。この時点では問題の区画の住所が正確に「渋谷区松濤１丁目１番」に戻っている。また区画の北側は「宗教法人世界基督教統一神霊協会」となっている。）
ところでここで、統一教会の本部が所在していた住所「渋谷区松濤１−１−２」の登記簿を見てみよう。登記簿左上に「松濤１−４−７」とあるのは、極めてややこしいが「地番」という登記所が住所とは別につける番号で、住所とはまた別に存在する。そしてこの「渋谷区松濤１ー４ー７」は「原因及びその日付」によると「４番５」から分離とある。
（平成５年（１９９３年）に何らかの紛争などを受けてか、土地を「仮差押」された形跡があるが１９９６年には差押が抹消されている。）
（統一教会本部の土地に対する担保などの履歴欄。１９７７年に大韓民国ソウルの第一銀行から統一教会に４億５０００万円の融資がなされて、この土地がその担保になったことが分かる。）
はて、ここで今度は分筆元の地番「渋谷区松濤１ー４ー５」の登記簿を辿ると極めて意外な人物が浮かび上がる。それは栄光ゼミナールの創業者田中幸穂氏である。つまり今統一教会の本部になっている土地はかつて、栄光ゼミナール創業者の物だったーーそれが昭和４５年１１月１１日の時点で一部、分割されて統一教会本部となったわけだ。
（ややこしいが住所「松濤１丁目１番２号」の土地についての登記簿である。）
ここで塾業界の業界紙「私塾界」によれば、田中氏は１９６０年代に学習塾大手「栄光ゼミナール」を創業。その後は「学習塾全国連合協議会」の会長を務めたほか、「社団法人全国学習塾教会」や「社団法人日本青少年育成教会」の発足に尽力して「NPO法人渋谷介護サポートセンター理事長」を務めたという。
なおウィキペディアの栄光ゼミナールに関する記載によれば、１９８０年に北村氏という実業家が創業としか書かれていないが、極めて不正確である。 正しくは法人名千代田区富士見所在の法人名「栄光」という法人設立が１９８０年になされただけであり、地図という別の客観証拠によればそれ以前から栄光ゼミナールは活動していたというべきである。なぜ栄光ゼミナールの社史が１９８０年創業とうたっているのかはよく分からない（普通は、なるべく創業が古いように「逆サバ」を読んで老舗と喧伝する方が営業の上で有利である。なお現在、栄光ゼミナールはZ会グループの一部となっている。）。
それにしても、「栄光在天」という挨拶文を好んで用いる団体本部の隣に、かつての「栄光ゼミナール」があったというのはミステリー小説のように意外な偶然だ。
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【エコーニュース編集部】
