一般に、政治家の質が低いとよく言われる。だが有権者がそもそも、ちゃんと政治家を選んでいないんじゃないか、政策が吟味されていないんじゃないかという観点から去年『選挙公報.com』というウェブサイトが作られた。文字通り、過去の選挙公報(選挙の際に、各候補者が公約などをまとめた文書で、各自治体が作成して有権者に配布する文書)をインターネット上にアップして蓄積するサイトだ。
事務局の、九曜明氏に創立までの経緯と彼の考える政治の現状について、お話をうかがった。
———お忙しいところありがとうございます。直球ですが、選挙公報は投票で参考にされていると思いますか?
九曜明氏(以下、敬称略):思いません。まず、自治体とかがアンケートしていますが、質問項目がおかしいんです。「スキンシップを取ったことがある」とかいう動機がなかったりするけど、そういう理由の方が投票する政治家を決めるのに与える影響は大きいかもしれないですよね。
あと、人はアンケートに対してつい聞こえのいい、相手に期待されてるような回答をしてしまいますから選挙公報を参考にしている有権者の割合は公表されている数字より少ないと考えています。
———九曜さんは選挙公報の内容を読んで候補者の当落予測を出来ますか?
九曜:いいえ出来ません。現状は、目立たせるためのキャッチフレーズ合戦ですよね。そして有権者が読むときも1,2ページと最後だけは読んであとは飛ばすくらいの人が多いんじゃないですかね。隅々まで読む人も中にはいますが。
もっというと有権者でも、選挙公報を知らない、何それっていう人は多いです。
実をは選挙公報自体を出していない自治体がありました。8つの県議会の選挙で選挙公報は出されていなかったんです。最近、大手マスコミの人に取材をうけたときにその話をしたら記者の人もおどろいていました。
———選挙権が18歳からに引き下げられますが、その影響はどうなると思いますか。
九曜:若者は余り選挙に行かないから、まず投票率が下がるでしょうね。特に地方選挙だと投票自体に行かないでしょう。投票に行くとしても、選ぶ場合の基準は、見た目の良さが1番重視されるでしょう。その2番目にインパクト、次に知名度とくるんじゃないですかね。最後に、知人です。
でも、私は投票率が上がればいいなんて単純には考えてないんです。投票して欲しいと思っているのは、しっかり考えている有権者ですよ。ちゃんと選挙公報を読むくらいの人には選挙に行って欲しいです。見た目で政治家が選ばれるようでは、政治を良くするのに有効な選挙にならないと思います。
———厳しい意見ですね。