楽天の経営者、三木谷氏をはじめとする国際企業や富豪によるタックスヘイブン利用について問題提起したパナマリークスの中に、高級ブランドの、アルマーニとシャネルの商号を冠したパナマ法人が含まれていることが分かった。
まず、アルマーニで登録されているのは「ARMANI INC.」社。同社の社名とPANAMAを検索エンジンでキーワード入力しても、現地法人は見当たらない(フィリピン法人のARMANI INC.ならばヒットする)。そして同社の代表者名はEL PRESIDENTE(英訳すると The President, 日本語で言うと「社長さん」)という名義になっている。
また別の「ARMANI INC.」役員である「YADIRA DE BOUTAUD」氏は、数十の企業で役員を務めており、勤務実態がない可能性が高い。
一方、シャネルを冠した企業は「CHANEL TEAM INC.」社である。こちらについては社長などは掛け持ちでないものの、財務担当役員は「VIANCA SCOTT」氏は、やはり数十社(またはそれ以上)をかけもちしており、勤務実態に疑問符が付く。
ウェブサーチをするとシャネルもアルマーニも、パナマ国で商品を販売していることは確認できるものの、別の称号を用いており、モサックフォンセカ顧客企業の「CHANEL TEAM INC.」などは、何のために登記してあるのか、現時点では設立目的が不透明な状況にある。
追記:ティファニー関連企業と思われる「TIFFANY ASSOCIATES INC.」社も見つかったところ①同名の企業として、パナマ国で宝石販売その他の事業を行っている会社は発見出来なかったが、②役員の重複(他社との使い回し)は、ほぼない。そのため、設立目的について比較的透明性が高いと言える。
だがグッチ社に類似した商号の企業として見つかった「GUCCI S.A.」については、役員構成において不自然な点も見受けられる。
例えば財務担当・兼副社長を務める「CORNELIO MCKAY」氏はパナマで7000以上の役員職を兼務していることになっており、「ペーパー役員」的な性格が強い。そして、このパナマ文書を最初に入手した南ドイツ新聞は、まさしくモサックフォンセカのサービスとして名ばかりの取締役(Sham Directors)の提供もあげている(4月30日追記)。
なお、無関係の企業が勝手に似た商号で操業している場合は、4月30日付け産経新聞報道のようにニュース記事となったり、法的紛争になってやはりそれがニュースになって検索結果で出て来る場合が多いと思われる。ただし今回取り上げたパナマ法人の中に、ニュース化したものは見当たらなかった。
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