Menu
2015年5月以前の記事はこちら
2015年4月以前の記事はこちら

世田谷区区民講座・離婚時の財産隠匿と連れ去り別居を指南 違法行為指摘で講師謝礼とセミナー室利用料の減免額、26110円を違法・不当処理の疑い

2023年10月6日19時27分
カテゴリ:地方

世田谷区区民講座・離婚時の財産隠匿と連れ去り別居を指南 違法行為指摘で講師謝礼とセミナー室利用料の減免額、26110円を違法・不当処理の疑い

世田谷区立男女共同参画センターで2023年9月に行われた女性限定の離婚セミナーで、財産分与時の財産隠し及び実子の連れ去りを事実上指南する内容が講義されていたことが、分かった。講師謝礼の支払い予定額が25000円、徴収しなかった施設利用料1110円が住民監査請求の対象となる可能性がある。


問題発覚の発端は「共同親権を求める飲食関係者の会」が9月23日に行ったツイート。




財産分与という、離婚時に夫婦が相互の財産を折半する制度を前提に、対象となりそうな銀行口座からこっそりと、お金を「抜く」こと、また現金で引き出すようにして直接には他の隠し口座へ入金しないことなどが教唆されている。これについては筆者の見立てでは以下の通り、詐欺罪に当たる行為を教唆していると思われる。




なお、山口貴士弁護士も同旨の見立てだ(筆者よりも細かく、損害額についても端的にツイートしている。)。




行政である世田谷区がこのような講座を主催することの是非に加えて、資金的に支援するの是非も問題となる。「こうてつ」氏が情報公開請求で得た文書をツイートして、講師謝礼の25000円を世田谷区が支払う契約だったと判明。




さらに筆者が情報公開請求と共に、メールでも世田谷区に問い合わせたところ、当日に使用されたのは研修室3・4である。まず講師謝礼はまだ振り込まれていないこと、そして講座の行われた午前中の利用の場合は施設利用料が1110円であるが、これを徴収していなかった旨も世田谷区からの応答で分かった。




(世田谷区のらぷらすホームページ掲載の施設利用料)




(世田谷区生活文化政策部人権・男女共同参画課長からの10月6日付メール)


問題となるのが、住民監査請求の対象になるのではないかという点だ。すなわち、地方自治法242条1項では、住民監査請求の対象を、当該普通地方公共団体の長、委員会、委員又は職員による違法・不当な① 公金の支出、③ 契約の締結・履行のほか「⑤ 公金の賦課・徴収を怠る事実又は財産の管理を怠る事実」を対象としている。



(総務省HPリンクより)


再びセミナーの内容に戻ると、10月6日の森キミト氏のツイートでさらに問題点が出てきた。




すなわち、離婚前の別居時に子供を連れていくことを親権確保の手段として推奨していることも録音で判明したが、これは警察庁が2023年3月29日に出した通達を前提とすると、未成年者略取誘拐罪を構成する。


以上のような講座内容の違法性を前提とすると、25000円の講師謝礼を払ったり、またそのセミナー室の利用料金1110円を免除する行為は、いずれも住民監査請求の対象になると思われる。


ただ世田谷区としては「本事業はらぷらす主催事業のため、公用利用としており、利用料は徴収しておりません。」と回答しているところ、もしそうならば確かに1110円は住民監査請求の対象外である。しかし今度は世田谷区のガバメントスピーチとして、違法講座を指南したこととなり、首長のリコール、あるいは関係職員の懲戒処分余地が生じてくる。その可否の判断基準としては、講座内容が犯罪教唆的な内容を含んでいたことが分かった後でもなお、予定されていた講師謝礼額を振り込んでしまった場合に、行政庁の裁量権の範囲内の行為かどうかとなると思われる。


最後に世田谷区からの本件についての10月6日付のメール全文を、担当者名のみイニシャルに変更して掲載する。


「令和5年10月6日


江藤 貴紀 様


世田谷区生活文化政策部

人権・男女共同参画課長 I


日頃から、世田谷区政にご理解、ご協力をいただき、誠にありがとうございます。

「区長へのメール」は、区長が内容を確認し、ご意見への回答については担当所管よりお送りさせていただいております。


世田谷区の男女共同参画推進施策にご理解・ご協力いただきありがとうございます。いただきましたご質問については、以下のとおりお答えいたします。


発言者について、区で確認済みです。講師の方ですので、講演謝礼を受け渡し予定となっております。講師謝礼は、一般的な講演依頼と同水準として、25,000円(交通費・税込み)を予定しております。

開催場所は、研修室3,4で実施いたしました。本事業はらぷらす主催事業のため、公用利用としており、利用料は徴収しておりません。

 

各種講座の講義においてお話しいただく事例や内容は各講師に委ねているため、世田谷区としての公式な見解ではないものもございます。その上で、今回の受講生には改めてご説明する予定です。講義の中で不適切な行為を助長するような内容が含まれていた等のご指摘については真摯に受け止め、今後の講座の選定・講義内容の設定、講師の選定等にあたって十分に考慮し、より良い講座運営に努めてまいります。


【担当】人権・男女共同参画課

電話03-6304―3453


お願い:セキュリティ確保のため、このメールアドレスへの返信はお受けしておりません。

区政へのご意見・ご要望は、区ホームページの「区長へのメール(区政へのご意見)」よりお寄せください。

https://www.city.setagaya.lg.jp/inquiry/mailform999991.html

区長へのメール(区政へのご意見)担当:広報広聴課

電話03-5432-2014 」




【10月8日18時追記】世田谷区らぷらすは、三元茶屋駅が最寄りで一階に昭和信用金庫の入るビルの3フロアをぶち抜きで入っており、行政の「金余り」の産物というふうな感はいかにもあった。実際、配布されている印刷物などもカラフルで予算が潤沢な感がある。どうも「金余り」の拍子につい余計な事業までやらかしたようなかんがしないでなくもない。ただ、中高生・大学生を無料自習室で集めたり、無料の子ども室の存在をアピールしている行政機関の施設が、同時に詐欺や未成年者略取誘拐を指南するような講座を行なっているとなると、これは一昔前のオウム真理教や統一教会以上に、警戒心を払うのが困難であるようにも思える。



(世田谷区男女共同参画センターらぷらすで、配布されていた印刷物の一部)


【江藤貴紀】


 

人気記事ランキング
 

ページトップへ戻る