5月28日、自民党行革推進本部で本部長を務める、河野太郎衆議院議員が外国特派員協会で、今後の財政政策を主題に英語会見を行った。
その中で、全要素生産性(TFP)が2.2%という政府の前提はバブル期と同水準のものであり、現実性を欠くとして、よりタイトな財政政策の必要を強調。また、財政対策案の例として、(1)テレビ局やラジオの電波利用料が不当に安いのでこれを増額することや、(2)totoやフットボールlotteruyといったギャンブルの導入(3)税務当局と社会保障行政の一体化などを訴えた。また、質疑応答では非常に突っ込んだ意見を与党の人間としては語り、政治家としては思い切った表現を用いてくれたのでお伝えする(注1*)。
Q:2020年、東京オリンピックについて意見をお願いします。
河野太郎氏(以下、河野氏):まず、ハコ物の問題があります。国立競技場の建設には反対です。もうすでに横浜にも埼玉にもスタジアムがあるのにまた作る必要はないでしょう。3000億円も注ぎ込むという計画はふざけたものです。金メダルを取るために文部科学省が予算を付けていることも問題です。これもアホな支出です。」
南ドイツ新聞・クリストフ・ナイハード氏「日本政府の破産の可能性はないですよね?」
河野氏「今、日本銀行は金利を下げているが、これは続けることが出来ない政策です。金利は上げる必要がある訳です。また、もっと外国人労働者を受け入れる必要があります。しかし国内には、心理的な問題があります。でもこれは、私には頭のおかしいものに思えます。
なお少子化についてですが、出生率が平均1ポイント台な問題もありますね。もっとも、私も結婚していますが一人っ子しか持っていませんが。前にこのことで、小泉純一郎さんから、『俺は離婚してるけど子供は3人いるんだぞ。もっと頑張れ』と言われてしまいました。」
インドネシアの記者「移民政策と、あとカジノについての意見をお願いします。」
河野氏「私は、どの国籍でも、例えばインドネシアやフィリピン、ベトナムその他どこでも働きたい一を受け入れたいと思っていますね。でも労働者の受け入れに関して、日本政府は大きな嘘をついていると思います。建前では「安い労働力が欲しいんだ」とは言わない。そして、外国人実習生のトレーニングといっていますけれど、海で牡蛎を取ったり、キャベツを収穫するのにどんだけトレーニングがいるんだと言いたいです。3年も牡蛎を取るのに練習が必要ですかね?
(河野氏のFCCJ会見動画。「キャベツ問題」の箇所は49分40秒頃からで、このリンクをクリックでジャンプできる。)
この裏口でのやり方をお仕舞いにして、一時的でない労働者の受け入れ制度を導入するべきです。
あと、カジノについては、はっきりしたことが言いにくい部分があります。というのは、私が見たところ、非常に多くの方が「パチンコ依存症」の状態となっている。この点で厚生労働省がまず、パチンコで問題を抱えている人たちのリサーチをやる必要があるのではないでしょうか。それと、横浜と大阪が雇用をを増やすためにカジノを作りたいと言っていますね(注2*)。ですが、要らないというのが私の意見です。というのは、これらの都市には、雇用先は十分にあるからです。四国の県ですとか仕事のない地域ならば、別の話かもしれないですけど。
(河野氏はスライドを使い、地方レベルでの財政改善の必要性なども訴えた。)
Q「医療支出についての意見をお願いします。」
河野氏「人口あたりの病床では、福岡がいちばん多くて、圧倒的に医療費が高いのです。これをどうにかする、地域ごとに均等にする必要があると考えています。そして、医療で重要なのはフリーアクセスではなくて、ライト(正しい)アクセスです。こういうと、日本医師会からは強い反対がありまして、この日本医師会は政治力がとても強いのですが、医療費の削減を何としてもやらないといけない課題です。
* ただ、河野太郎氏自身の公式サイトによれば、彼は地元選挙区にあるベルマーレ平塚の『湘南ベルマーレ』で、かつては代表取締役会長の地位にあり、また現在は監査役を務める。
**この外国人実習生制度についてのダブルスタンダード批判はかつてから率直に述べておられ、ぶれていない。
【江藤貴紀】