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石破茂大臣、幹事長時代に1年で自民本部から14億7600万円を個人で引き出し 自己資金へロンダリング

2015年7月24日01時26分
カテゴリ:国内

石破茂大臣、幹事長時代に1年で自民本部から14億7600万円を個人で引き出し 自己資金へロンダリング





石破茂・地方創世大臣が2013年(平成25年)の間だけで自民党本部から、現金14億7600万円を引き出していたことが分かった。さらに石破茂氏が、2014年9月に地方創世大臣として大臣就任後に、閣僚として資産を公開した時点(リンク先、産経新聞記事参照)では保有資産が2091万円だけとある。すると14億円以上が一気に石破氏の懐から消えたことになる。




平成25年の自由民主党本部政治資金収支報告書より)


実は、いったん政党から個人に渡った資金については法で使途が分からなくなる。そのためいろんな使い方や蓄財が可能なため、政治資金規正法が第二条で基本理念として掲げる「その収支の状況を明らかにすることを旨とし」「国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない」に対して、与党の重鎮で現役の閣僚が真っ向から反するものとして、問題となる。


まずもって、基礎知識からおさらいしておくと、石破茂氏は2012年9月から2014年9月の間に自民党幹事長を努めると同時に本部の会計責任者、つまり金庫番の立場にあった。


この幹事長という立場は、党において党の政治資金の差配を決める立場であるため問題ないとも思える。しかしながら普通に選挙や政治活動のための政治資金を党の政治家に渡すだけならば直接に党本部から付与すればいいのに、なぜいったん石破氏個人が引き出しているのか。


まず「幹事長だから党のお金を使うのは当たり前ではないか」という意見がSNS等であったがそれについて誤解のないように説明すると、幹事長は確かに党の資金を差配する権限を持っているがその支出の9割以上は党本部から「表のカネ」として使途が分かるように各地の党支部や議員その他に配られるわけである。



(平成25年・自由民主党本部政治資金収支報告書の一部(リンク)より。この平成25年の一覧は、ここをクリックでジャンプでき、文書は一年分で1000ページ以上あるが使途の全体を見通せる。)


では、この資金は何に使われたのか。使途の分からないお金としては日本ではよく、官房機密費が例に挙げられて、その金額が年間に20億円であるところ、この14億7600万は、その7割強である。後述の通り、この引き出し額は石破氏の先代である自民党幹事長、石原伸晃氏の例と比較しても異例の多額になる。


「いや、幹事長の職務として選挙のために引き出したのではないか」という見方もあるかもしれないが、これも①なぜ表のカネではいけないのかという問題が残るし②石破氏の引き出しは平成25年の参議院議員選挙後も続き、自己に党の資金を集中させ続けている。平成25年8月から12月までの間の引き出しは3億9410万円である(なお自民党幹事長の任期は慣例で2年だが、この時点では次の衆議院選挙がいつになるかは判明していなかった。また平成27年の統一地方選は石破氏の任期切れ後のため、これらのための資金を集めていたという説明も無理である。)


以下、現在見ることが出来る過去3年分(平成23年〜平成25年)の政治資金収支報告書を眺めてみよう。


まず、石破氏の就任前、平成23年まで幹事長を務めていた石原伸晃氏の幹事長時代は、石原氏への支出が約3億円と多いもののまだ、複数の議員にある程度分散して党の会計が配分されていた。



平成23年の自由民主党本部政治資金収支報告書


ところが、24年11月9日からは安倍晋三氏と石破茂氏にシフトして、それぞれが5000万円規模で入金されており、ほぼ同額を分け合っている。



(平成24年分、自由民主党本部政治資金収支報告書より)

具体的な金額を見ていくと、平成24年の11月13日から同年末までに安倍晋三総理に2億5000万。一方の石破茂幹事長は2億6000万円を党費から受け取っている。つまり2人で二人三脚に政治資金を配分していたわけである。


一方で、安倍晋三総理への政策活動費は、平成25年になると一気に止む平成26年8月23日の産経新聞・政局記事では、「石破氏、いよいよ新派閥立ち上げか」という見出しで安倍首相が石破氏に警戒感を抱いているとされるが、それも当然である。すなわち、安倍総理からしてみれば、平成25年に入って以来幹事長の石破氏から兵糧攻めに遭っているような感覚を抱いても不思議ではない(それにしてもなぜ、政治部の記者はその前提となる党の資金の動きについて書かないのだろうか。まさか気づかないほど間抜けなのか、それともタブーでもあるのだろうか)。


しかし、この14億円の、石破マネーはどこに行ったのか。実は「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律」に基づいて誰でも衆議院第一議員会館に行けば、衆議院である石破氏の資産を見ることが出来る(筆者も閲覧済み)。ところが朝日新聞報道によれば、2014年の総選挙後、今年3月に出された衆議院議員の資産公開においても、石破氏の資産は1591万円とされていた。また前述の閣僚の資産報告(これは法的根拠からではなく慣例で行われている)においても石破氏の資産は2000万円ちょっとである。


すると①石破氏は14億円以上を一気に1年で浪費したか②政治資金の公開に関する法令に引っかからない形でどこかにプールしているかのいずれかである。


だが、実はこれを調べるための法律がザル法なのだ。というのは、報告するべき資産からは第二条四号で「預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。)」とあり、普通預金が除かれているほか、現金なども報告の対象外である。同法のもとでは、やたら細かくゴルフ会員権や絵画などまで報告対象に指定されているのだが、普通預金の報告義務がないというのはわざとアンバランスな仕組みにしてあるように思える。


なお、平成26年9月まで石破茂氏は自民党幹事長であったところ、平成26年分の自民党本部の政治資金収支報告書は今年の11月末に総務省から公開予定であり、ますます使途不明な「石破マネー」の額はふくれる可能性がある。つまり石破氏は14億超を使ったりあるいは現金や普通預金などの形で私有しているということになる(この点は安倍総理も同様である)。


実は類似の事例が、民主党政権時代においても当の民主党でかつて問題になったことがあった。例えば週刊現代2010年9月11日号に、菅直人氏対小沢一郎氏の民主党代表選直前に、民主党内で作成された報告書がリークされているのだ。それによれば、①山岡賢次議員と、佐藤泰介参議院議員(当時)が、平成19年から22年5月までの間だけで36億5000万円を引き出している点、②この使途が不明である点が当の中で問題視されている。


なお、同記事では阪口徳雄弁護士のコメントが引いてあり、「森喜朗氏が平成10年から11年にかけて党の政治資金を幹事長として11億円を『組織対策費』名目で引き出していたことと、それをかつて阪口弁護士が政治資金規正法違反で告発したが、地検は『嫌疑なし』との捜査結果であったという旨が書かれている。」


この点については、①法執行機関である検察庁が嫌疑なしとしたのでもう政治資金規正法違反は無理筋という考え方と、②従来から問題になったことが度度ある方法で資金を個人が引き出すのは不適切すぎる(あるいは、法を改正して然るべき)という見方があり得る。


なおもちろん筆者の見解は後者であって、使途不明の個人引き出しが許されるならそもそも提出しないといけない書類の数だけ無駄に多い政治資金規正法など、政治の透明性を装っているザル法に過ぎず、廃止た方がマシである。



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