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Twitterジャパン 特定ユーザー対象の新たな「検索妨害」が存在か 「受け手ターゲット」でシャドウバンより巧妙なSNSジャミング

2023年1月15日13時12分
カテゴリ:外信

Twitterジャパン 特定ユーザー対象の新たな「検索妨害」が存在か 「受け手ターゲット」でシャドウバンより巧妙なSNSジャミング

ツイッターで、「検索妨害」(仮称)と呼ぶべき情報操作が、行われている疑いが一部ユーザーの指摘で分かった。



(指摘を行っていたアカウントのツイートを日本からアクセスして調べたもの。何も表示されない)


まず、Twitterではいわゆる「シャドウ・バン」と呼ばれる現象(あるいは操作)が行われていたことが言われているが、これと今回の「検索妨害」は別物なので少し前提としてシャドウバン(リンク先は日本語として、まとまっているギガジンの記事)について触れたい。


すなわち、シャドウバンとは特定アカウントの発信内容を、すでにフォロワーになっているアカウント以外に表示させないという機能。事実上、当該アカウントの投稿が拡散されないがアカウント所有者にはその状態が認知できないため「シャドウバン」と呼ばれていた。以下の埋め込みの通り、Twitterを買収したイーロン・マスクの見解によれば政治的に右派とされるグループにだけ実施され、左派には行われていなかったようだ(ただこの右派と左派が、どの国におけるどのようなアカウントを指すのかはーー特に日本でどうなのかはーー明らかではない)。




一方これに対して「検索妨害」といま呼ばれている事態は、より複雑で「受け手」の属性に付随して、一定の情報を遮断する機能と見られる。





(検索妨害について詳しく検証・発信していたアカウントのツイート)


「検索妨害」の内容を具体的にいうと、Twitterユーザーの①国籍設定、あるいは②アクセス元の国家などを基準にして、例えば「日本国籍かつ日本からアクセスした」という場合に、一部のアカウントによる投稿が全く表示されなくなる、という内容である。


妨害対象をバイ・ネームでいうと、この「検索妨害」について検証している「穂羽絃廢狼(ほわいとはいろー)/廃狼 @highlow522312 」氏という成人向けイラストも含む投稿をするアカウントが存在する。フォロワー数は20万超で、アルファ・ツイッタラーと呼んでいいだろう。



(冒頭にも掲載のスクリーンショット。なおセンシティブ情報についても全て表示する設定を選んでいる)


このアカウントについての情報を筆者が入手して、①「from:@highlow522312 検索妨害」で検索したところ、何も結果は表示されなかった。②ただ直後にVPNサービスを利用して米国からのアクセスにしたところ「from:@highlow522312 検索妨害」(この検証はいずれも2023年1月15日午前11時過ぎに行なっている)で大量の書き込みが表示されている。



(VPNでアクセス元を米国にした場合。なおドイツなどからの場合も同様の結果が得られた)


繰り返すと、この「検索妨害」は情報の発信者だけでなく、「情報の受け手の属性」を基準に発動するようだ。シャドウバンよりも厄介な点としては、①シャドウバンならば(仮に国籍や発信国が基準であるなら)、発信者に付着するペナルティにすぎないのに対して、②「検索妨害」の場合は受け手のユーザー単位で発動するため、発信元のツイート主には変更がより困難という点である。


つまり誰か別の人が発信するなどしても「検索妨害」が発動した際には受け手にその情報は届けられないということである。


以上は、偽計業務妨害罪、あるいは詐欺罪、景品表示法違反(Twitterの有料プロモーションやブルーマークに関する優良誤認表示)を構成する可能性がある。



(Google検索で見ると、メロンブックスへの検索妨害が話題になっていることがわかる。従って関連ツイートの情報をGoogleのサーチエンジンは拾えているということだ。とすると、Twitterの内部検索機能で、何かジャミングが行われていると考えられる)


偽計業務妨害についていうと、例えば「メロンブックス」(という同人誌系販売チェーン書店の業界第2位の秋葉原店・成人向け部門アカウント)は、勝手に隠されたアルゴリズムでツイートの拡散が妨げられていたと言われている。



(VPNをかませずに日本からTwitter検索をした場合の結果)




(VPNでギリシャやドイツからアクセスした場合は正常に表示される)


メロンブックスは当然に商売として、他の競合他社と同じように宣伝効果が得られると目してTwitterに参加してつぶやきを投稿していたのに、実は他のユーザーから「空気」扱いされていたとなれば、店の看板を隠されたも同様の状態である。


また詐欺罪については、直接的には、有料会員になって1800円を払ったという冒頭のアカウントは、当然に他のアカウントより優先して(少なくとも最低限度、差別などされずに)ツイートをアピールすることを期待したからこそ有料会員の代金を支払ったわけで、もし勝手にツイートを見れなくしていたのにそれを秘して料金を受け取っていた場合はTwitter運営会社側による課金ユーザーへの詐欺になり得る。また景品表示法違反(優良誤認表示)も成立し得るが長くなるので今回は指摘に留める。


Twitter、特に日本法人の不透明な運営については、イーロンマスク体制になる前後での大幅なムーブの変動からすでに指摘があった。例えば一部の記者が(迂闊にも)口走っているところでは、一定のネットメディアはTwitterジャパンのチームと、記事の発表前にコンタクトを取っていたようだ。



(竹下記者はフェミニストを自称しており、ビジネスインサイダーなどへの寄稿を行っている)


なお「検索妨害」についてはTwitterのアプリ経由かブラウザ経由かで動作が異なるのではないかという意見もあった。そしてアプリでのみ作動するーーつまりTwitterジャパンなど、一部の海外法人経由で配布されたアプリのみで作動してTwitter本社が知らないところで起きていた現象ではないかーーという指摘である。



(竹下記者のTwitterプロフィール)


ただ筆者が検証した限りではPC用のブラウザでもやはり検索妨害が発生している。このことは、「検索妨害」に日本法人をはじめとする海外支社が関与した可能性を排除するものではない。ただTwitter社の各国法人間の権限分配については明らかになっておらず、問題はアプリでなくてもやはりTwitterジャパンにある、ということはあり得る。


以上の指摘については勇気がいることは付言したい。というのはプラットフォーマーであるTwitter社の批判になるわけで、そのぶん何かと発信したアカウントあるいは関係者は不利に扱われる可能性があるからだ。


最後に付言すると、今回の問題ーープラットフォーマーによる情報統制疑惑は、「左右」や特定イシューについての対立に留まらない情報統制の問題を提起している。仮にあるイシューで有利に扱われていた人も、別の場合には「迫害」対象になるかもしれない。果たしてそのような社会が望ましいか、仮にプラットフォーマーが私企業であるのでユーザーを「エコ贔屓」する自由があるとしても、それを表に出さないことは①本文で触れた通り、刑事法上の問題になり得るし②仮に刑法に引っ掛からなくても、市民社会秩序に対する大きな脅威になり得る。


【1月15日:14時45分追記】読者からの情報提供で、アカウントがYahoo!リアルタイム検索で、暇空茜氏のアカウントが検索結果から除外(か何かのBAN)をされているのではないかという指摘があった。実際、彼の好むワード「アスナ」などで検索したところ全く暇空氏のアカウントは出てこなかった。



(「アスナ」でYahoo!リアルタイム検索をした結果。暇空茜氏はいない)




(Twitterの方では暇空茜氏は普通に出てくるようだ)


以上の結果から見ると、Yahoo!リアルタイム検索にも「何かBAN」とでも呼ぶべき機能があって、それで特定アカウントのツイートが拡散されにくくなっていると見られる。ただ暇空氏のアカウントはポルノ画像などをアップすることは(知る限り)ないため、もしも検索結果から排除されている理由があるとしたら、Yahoo!社内の社員の(あるいは会社としての)工作ではないだろうか。


Yahoo!リアルタイム問題についての所出は、情報提供によるとこのはてぶである。


【15時07分追記】 Twitterにはプロフィールで国籍設定のページがある。受け手がここで国籍を日本以外にすると、VPNなしで日本からアクセスしても「検索妨害」を回避できる。ただし、ほわいとはいろー氏の指摘によると、日本以外にメキシコ国籍の場合も検索妨害が発動するようだ。同氏は、各国支社の政治的態度が検索妨害の背後にあると推論しておられる。


なおYahoo!リアルタイム検索による「除外」は、TwitterJapanによるものよりは、偽計業務妨害などに問いにくいかもしれない(SNSで投稿できるサービスの、直接の提供側ではないため)。


【15時29分追記】ツイッタージャパンのキュレーションについては、竹下記者は件のツイートを現在削除したようである。まずいことを書いたと思ったのだろうか。


【18時01分追記】Yahoo!リアルタイム検索では echo-news.red が弾かれていることと Twitter検索では echo-news.net が検索妨害されていることも分かった。なおYahoo!リアルタイム検索では echo-news.net はヒットするようで、ツイッターでも echo-news.red なら出てくるようだ。



それぞれのサービスの検索除外条件はよく分からない。まるでVPNを当局がランダムに規制していた中国のようだ(ただし新型コロナウイルス感染症流行直後の2019年末から2015年初頭は、現地で全くVPNが使えない状態にあったことは付言する)。


【18時53分追記】同人誌チェーン大手のとらのあなの成人部門アカウント「とらのあな成人向け担当ver.2 @tora_eigyou_a 」もメロンブックスと同じく検索妨害の対象になっていた。だが同じく成人漫画を扱う「 ラムタラメディアワールドアキバ地下1階@lammtarra_mw_B1 」のアカウントは、センシティブなメディアを含むという注意付きだがヒットした。



筆者には基準がよく分からないのだが、ひょっとするとエロ系でも①漫画・アニメなどのサブカルチャーは検索妨害を受けているが②ラムタラのように、一般的な(2次元ではない通常のアダルトビデオなどを含む)ポルノ作品を扱っている店舗は除外しないという謎な設定の可能性がある。


ただし吉原ソープランドで調べた店舗「吉原ソープランド・阿呍/あうん @aun_staff 」については、検索妨害がやはり効いていた。(あくまで適当にGoogleで検索しただけで、筆者が行ったことがあるとかいうことではない)。



【19時37分追記】先ほど、検索妨害の対象になっていると述べた「吉原ソープランド・阿呍/あうん @aun_staff 」というアカウントが、今度はヒットするようになっていた。ひょっとすると本当に中国のグレートウォールによるVPN規制のように、「24時間のうちランダムに18時間だけ妨害する」などの挙動をしている可能性がある。


【3月4日追記】シャドウバンは喰らうと迷惑極まりないが、あえて意図的に喰らうことで過去のツイート履歴を分かりにくくする迷彩戦術も可能である。例えば2009年作成のアカウントでツイート数20000回、かつID変更履歴なしでも、「意図的に」シャドウバンを喰らう行為をすれば、自己のツイート履歴を探られにくくすることができる。


*この記事は関連情報をさらに追加する可能性があります。


【音無ほむら執筆 江藤貴紀編集】


 

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