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エヴァンゲリオン劇場版最終作 ウクライナ侵攻開始後に、ロシア系サイトで全編が公開される

2022年3月11日22時37分
カテゴリ:外信

エヴァンゲリオン劇場版最終作 ウクライナ侵攻開始後に、ロシア系サイトで全編が公開される

evangelion last

(ロシア系サイトで閲覧できる新エヴァ・劇場版のスタッフロール。)


アニメ作品新世紀エヴァンゲリオンシリーズの最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下、「新エヴァ」)のロシア語吹き替え版が、2022年3月8日からロシア系の動画サイトでアップロードされていることが、ロシア系検索エンジンYandexの使用により、分かった。日本国内では同作品はちょうど1年前の2021年の3月8日に公開されている。


なお画質については確認できる限りでは極めて良好(一般的なストリーミングサイトの水準を満たすもの)だが、吹き替えの音声は日本語の上からロシア語の声を重ねた、やや聞きにくいものになっている。ただし、新エヴァに限らず他の作品(例えばエヴァンゲリヲンのテレビ版であったり、あるいはハリウッド作品であれば、アル・パチーノ出演のゴッドファーザーパート2やスカーフェイスなど)でも、確認できた限りは同じような被せる音声を上からのせる形での「吹き替え」であるので、このような音声吹き替え方法も、ロシア国内では一般的なのかもしれない。


新エヴァ海外展開に関して国内のプレスリリースを確認した限りではアマゾンprimeで2021年8月に配信開始ということがわかるのみで、ロシアでの公開予定については不明だった。今回、この動画が確認されたのはフコンタクテというロシア語版のサービスで、facebookやYouTubeのような特徴を併せ持ったサイト。運営元はロシア企業だがユーザーはロシア連邦に限らず、ベラルーシやウクライナにも相当数が存在していたとされる(ただしウクライナ国では、2017年に議会の決定によりサービスが遮断されている)。


ロシア連邦国内においては、同国による、2月24日に始まるウクライナ国への侵攻を受けて、西側諸国の経済制裁に加わる形で、任天堂などの娯楽関係からユニクロなどの小売、また三井物産などのエネルギー開発プロジェクトを含めて多くの日本企業がサービスの停止や店舗の閉鎖、計画の凍結などを決定している。


また一方のロシア国政府は撤退した海外資本の企業に対して逆にサンクションを課す態度を表明した。すなわち、一定の条件のもとで、知的財産の保護を停止(商標権の使用制限を棚上げなど)する方針である旨をワシントンポスト紙が3月10日に報じている。


新エヴァ動画がアップロードされているロシア系サイト、フコンタクテのユーザープロフィールによると、アップロード主は、自己が映画ファンで好みの作品をアップしている旨を主張している。


ここで、今回、アップロードされている「新エヴァ」が①日本の権利者に正規の手続きを踏んだ予定通りの公開なのか、②それとも海賊版が作成されたものが公開されているのか③あるいは作品自体は正規の吹き替え版であるが、それが無断でアップロードされたものなのか、などの仔細は現在、確認中である。


3月21日追記:3月11日付で、エヴァンゲリオンの版権管理を行なっているグラウンドワークス社へ、3月15日までを期限として以上の項目について質問を行ったが、一切の回答は現在までになかった。知的財産権の無断利用であれば今後の同種事案がロシア国で続く恐れがあること、一方でウクライナ侵攻にもかかわらず、ロシア国内でビジネスを続けるのであれば企業の社会的責任の上で問題が生じ得るところ、何かしらの社会性のある回答がアニメ関係企業からも期待されるところ、残念であった。


profile

(アップロード者による、作品の説明)


 

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