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日本維新の会 足立康史議員 事務所ビルを相場の4割安で格安賃貸の疑い 商店街年会費18000円も後援会から謎の計上 公選法上の違法寄付の可能性

2023年1月26日10時13分
カテゴリ:国内

日本維新の会 足立康史議員 事務所ビルを相場の4割安で格安賃貸の疑い 商店街年会費18000円も後援会から謎の計上 公選法上の違法寄付の可能性



(グーグルストリートビューより)

日本維新の会所属の足立康史議員の政治団体が、入居している事務所について、市場価格の半分からせいぜい7割程度の格安で契約している可能性が、建物登記簿と不動産賃貸サイトの情報から分かった。


すなわち1月23日に足立康史議員事務所へ問い合わせたところ、足立議員の政治団体は茨木市中心部にある「吉川ビル」3階の全部を借りている。そして、政治資金収支報告書によればその賃料は月額22万円である。



(足立衆議院議員が代表の政治資金管理団体 新風会 政治資金収支報告書より)


ところが不動産情報サイト「貸事務所サーチ」の2023年1月26日時点の情報によれば、この物件のうち4Fは39.38平方メートルが賃料として共益費込みで13万円で借主を募集している。



(貸事務所サーチの情報より)


それに対してこの物件の面積は、3階も4階も137.95平方メートルである。実際、不動産情報サイトの見取り図でも、概ね入居者募集部分の面積はフロアの30パーセント程度なので見取り図は基本的に正確とみられる。



(不動産登記簿より。2階から4階までが同型とある)


ここで、共益部分(つまりエレベーターホールや階段)の正確な面積はわからないものの3階全てを足立議員が使用しているとなると、トイレや給湯室も事実上、足立議員の事務所専用であるから、面積にして120平方メートル分以上は占有している計算になる。とすると40平方メートルに満たない4Fの一室の3倍、39万円くらいが適正価格でないか。


なお、ビルによっては1階(集客に有利である)や、最上階(ステータスがある)などが他のフロアより高値で売買・賃貸されることはある。だがこのビルは5階建てで、足立議員入居の3Fと、いま募集中の4Fでは大きく賃料が変わる理由は見つけにくい。



(不動産登記簿より。5階建てであり、改めて3階と4階は同じ面積。)


つまり、足立議員の事務所賃貸価格は、(ひょっとすると不動産相場が値上がりする前、賃貸し始めた頃のお値段を据え置きなのかもしれないが)現在の相場に比べて割安すぎるわけである。およそ本来の賃料の55%ほどの値段で現在の事務所を使用している計算になる。


公職選挙法は、有権者から議員に対して経済的な利益を与えることを禁止している。そのため、市場価格よりあまりに割安での不動産の賃貸借契約は同法の禁止する違法寄付に当たる可能性がある。というのは、市場価格と乖離した値段での契約ができた場合は、事実上の贈賄などが野放しになる可能性があるからである。


仮にであるが、不動産のオーナーが政治家の政治姿勢に共感するなどして、市場価格より安い賃料を設定することはそれ自体としてすぐには法には触れない。しかしこの場合は、相場価格との乖離分を寄付として政治資金収支報告書に記載する必要があると思われ、また寄付が一定額以上である場合は寄付の上限額制限に触れる場合がある。



(総務省編・「政治資金規正法のあらまし」より)


すなわち本件では賃貸主は個人であるところ、借り手である足立議員の政治団体に年額150万円分相当までなら寄付が可能である。ただ、仮に1ヶ月分の家賃が市場価格より17万円割安になっているとすると年額で204万円分の債務免除を行なったことになり、寄付の量的制限に触れる余地がある。また4Fの別物件は2年更新のようだが、足立議員の事務所は何年契約なのだろうか(過去3年分の政治資金収支報告書を探した限り、更新手数料は見つからなかった)。


なお、足立議員に限らず政治家の事務所賃料については、市場価格よりも安い値段で契約されている場合が少なくないかもしれない。(ただこれは難しい問題で、市場価格よりもあまりに高い値段で物件を借りた場合には逆に、議員から有権者への買収となり、やはり公選法の禁じる違法寄付に当たる恐れがある。従って高すぎても安すぎても難しい問題が生じる)。



なお「あだち康史後援会」の政治資金収支報告書を見ると商店街の年会費として1万8000円が計上されていた。足立議員が商売をやっているならともかく、何の必然性があるのだろうか。仮に商店街の会合に意見交換のため出席して食事の実費分について支出したなら一応はわかるが、その場合は「年会費」という書き方は不相当とも思える。


ちなみにもし食費の実費相当分などではなく、単に商店街にお金を流しているだけの場合は、公職者の側から有権者に対する違法寄付となって公選法違反になる可能性がある。なお寄付の問題は難しく、例えば神奈川県選挙管理委員会の解釈も、かなり奥歯に物の詰まった内容になっている。


【音無ほむら】


 

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