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ツイートまとめの「togetter社」依頼を受けてステマ記事を堂々と作成 同社HPで紹介のトゥギャッター記事からあっけなく判明

2015年11月9日11時30分

ツイートまとめの「togetter社」依頼を受けてステマ記事を堂々と作成 同社HPで紹介のトゥギャッター記事からあっけなく判明



大手SNS、ツイッターのつぶやきをまとめるサイト「togetter」を運営するトゥギャッター社(代表取締役・吉田俊明氏、取締役・村田祐介氏)が、広告主から依頼を受けて作成した記事を、広告主の存在を隠して、映画を絶賛するまとめ記事を作成していたことと、今も同種の広告を売り込んでいることが同社のHPから分かった。


togetterはグーグル検索でも上位に表示されることが多く、また公称で月間4000万PV、1000万ユニークユーザーを持つ大手のツイート内容まとめサイト。


広告主がいることが分からないかたちでウェブメディアが記事を編集する行為はネット広告の業界団体JIAAが今年3月に策定した基準「ネイティブ広告における推奨規定」に照らしても違反しているとともに、景品表示法(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」)4条1項の禁ずる優良誤認表示にあたる可能性がある。一般的な概念としては「ステマ」にあたると思われる。


まず、同社HPの「広告やPRのお問い合わせ」によると、「TGプロモーション」というのがtogetterによる宣伝のプロジェクト名で、トゥギャッター社と、広告企業「株式会社キャッチボール」がタッグを組んでやっているようである。



そして「トゥギャッターでのプロモーション事例」として、実績として以下のものがサンプルとして4つ上げられており、広告代理店などの担当者から、宣伝についての問い合わせを受け付けるようになっている。


まず、映画「凶悪」については「映画関係者が気軽にオススメできないほど凄まじい映画『凶悪』とは」として派手に紹介。三池崇史監督や水道橋博士など有名人からの好意的なツイート内容を起用しており、総ページビューが11万以上ということなので、映画の宣伝としてはとても効果がありそうである。

スクリーンショット 2015-11-09 10.50.01


しかしこのまとめページのどこを見てもPRや広告であるとか、まさかtogetterの運営者自身が絡んだ広告の一環であるとは一見してわからない。ただし実はタグに「pr記事」が付いているものの、ほとんどのユーザーは気づかないと思われてちょっと信用してみることをオススメしにくい内容である(後掲、指摘を受けてこの部分は修正してある)。


また映画「私の男」では「6/24更新 嗚咽する人も出現。公開後も衝撃の声が続々と発生!映画「私の男」まとめ」として、今度は匿名の人からのやはり好意的なtweetが次々と集められている(あくまで匿名なので、関係者が紛れ込んでいたりするかどうかは不明である。筆者は映画自体は見ていないが、このまとめ記事自体でじゅうぶんに衝撃的だった)。


こんどは「邪悪な龍、目覚める」がコピーの映画「ホビット」について「【更新追加】中つ国メンズナックルとは?遂に公開『ホビット 竜に奪われた王国』待ちに待ったファンによるネタ作品まとめ!! #ホビット」と題したまとめ記事で、リード文には「オフィシャルなものから、ファンによるものまで!長い間公開を待ち続けたファン達の熱い想いをネタという観点から集めてみました」というTwitterまとめが紹介されているが、ワーナー社の提供であることは全く書かれていない。


なお広告例としてtogetter社のページ上に出ていた例では唯一、サントリーホールディングスのものがちゃんとサントリー提供の記事と明記されており、同社のコンプライアンスは割としっかりしていると思う。いっぽうで「ホビット」のワーナーブラザーズ社などはどこにも名前が出ておらず、担当者の法律知識かモラル、あるいはその両方が欠如していると思われる。





(togetter公式アカウントのツイートしている例。80000アカウントのフォロアーがいるので、割と真に受けられているのかもしれないが、広告プランがあることをフォロアーは知っているのだろうか。)





(この公式アカウントはやたらとつぶやきに忙しいがちゃんと読む気はあるのだろうか。)


以上のように、広告主からの依頼であることを明示せずに、映画などの内容を好意的にまとめて、ネットユーザーの間で評判が高いかのように紹介する行為は、景品表示法の禁止する優良誤認表示(法4条1項参照)にあたる可能性がある。


すなわち、「不当な表示の禁止」として景表法4条は「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」を事業者がすることを禁じている(太字部筆者)。


そして食べログの書き込みやらせ事件を受けて2012年に消費者庁が策定した行政解釈上のガイドラインでは(店舗の例についてであるが)下記の通りまるでたくさんの消費者から好意的評価を受けているように見える口コミを意図的に拡げるのは景表法上不当表示となるとされる。


この基準に鑑みると、多くのネットユーザーが利用するツイッターの意見を集めた内容で、なおかつ広告元が存在していることが明示されていないとtogetter記事は、一般消費者からは客観的っぽく見えてしまう。事例でいうと映画が面白いという内容のツイートが集まったtogetter記事が、広告として明示されていないならば本音の集まり、と普通は思えるだろう(実際筆者も、不勉強ながら広告プランの存在について知るまでは、ナイーブにもtogetterが広告を含むことに気づかなかった。)。


また、JIAA基準(広告企業の作った業界団体なので、かなり甘めになっている)でも「ネイティブ広告の定義」として、「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告を指す。」とした上で(要は普通の記事と同じ体裁を取っていると言うこと)「ネイティブ広告を媒体社が編集する記事・コンテンツであるとユーザー(消費者)が誤認することのないよう、広告の責任の所在を明確にするために、広告であることと、広告主体者が誰であるのかを明確にすることが必要である。ネイティブ広告を掲載・配信する事業者は、「インターネット広告掲載基準ガイドライン」の趣旨を十分に理解したうえで、それぞれのサービスの特性に応じ、「ネイティブ広告に関する推奨規定」に示された原則に沿って、必ず広告表記および広告主体者の表示を行う」としている(やはり太字部は筆者)。


この点、実はとても小さく「pr記事」というタグが各記事に書いてあるのが、記事出稿直後のTwitterユーザーの方の指摘でみつかったが、「ワーナーブラザーズ株式会社」「凶悪制作委員会」「私の男政策委員会」といった、クライアント名が出て来ないためやはり「広告主体者の表記」がかけておりJIAAガイドラインに反している。景品表示法の規制でも優良誤認表示にあたり得ることに変わりは無い(だいたい普通は「PR」と大文字で書くのをあえて小文字でprとするところに、PRであることをPRしたくない気持ちがにじみ出ている気がしないでもない)。


なおtogetter記事の多くにステマが含まれている恐れがあるが、どれがそうなのかがわからないため、togetter自体の信用性が、もはや怪しくなってくる。最後になるが別にこの記事を書いたのは、あるアニメ監督が明言した内容で会見のテープ部分をそのまま書いた記事について「デマ」と題したtogetterがあってしかもそれが「エコーニュースR」で検索すると非常に上位に来ていたので、誰がそのまとめを作ったのかについて発信者情報開示の方法について同社に問い合わせようとしていたのがきっかけである。



(toggetr社の公式ページより。最初は「お問い合わせ」の欄から聞こうとしたのだが、そのためにはtogetterのユーザーアカウントを作らなければならない不親切な設計になっている。さらにその際に自社のツイッターアカウント情報まで同社に預けないといけなくなるため、仕方なく「広告やPRのお問い合わせ」から入ったら露骨にステマの勧誘が書いてあった。)


以上、少なくとも3件は業界ガイドラインにも景品表示法にも違反している蓋然性の高い、映画会社によるtogetterのステマが今回みつかったが、こんな消耗な広告にカネを費やすくらいならちゃんと制作スタッフの給料だとかその他の予算にお金を回してくれた方が、ふつうによい映画として長い目でみて残ってくれるのではないか(まあ、上記映画の広報担当者は、おそらく映画のことも観客のことも長い目で見ておらず、いちおう自分の社内での業績は気にしているが、「もしステマがバレたなら」というふうな想像力もないか、あるいは自社の評判は気にしないで突っ走るという広報担当であろう)。


最後になるが、ひょっとしたら、この記事についても誰かに根に持たれて「デマ」であるとかいう内容のtogetterが作られるかもしれないが、多分そのtogetterを作る人は、togetterがステマをやっていると書かれて困る人だろう。あと、なぜかtogetterは内容を魚拓サイトで保管できないようになっているので、いま張ってある当該記事が何故か消えた場合はリンクが切れたら困ってしまうが、その際のためにページ全体を既に保存してあるので、アップロードし直すことができる。


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*追記はるまげさまにTwitterで指摘いただいて修正する前のバージョンは、このwebarchiveリンクにある。


ちなみにウェブ広告業界のステマ(あるいはその境界事例)事情とその背景については山本一郎氏が「ベクトル社が名指しステマ記事にホームラン級にアレな反論をして広告業界大困惑の巻」 ほか多数、最近エッジの効いた記事を複数発表しておられるので、一読をお勧めする。


**なお、Twitterのまとめサイトなのに求人ページでライターを募集していた時点で同社は「うちは自分で記事を書いています」(あるいは呟いています)といっているようなものであるが、どなたかもしもtogetterで働いておられた方がおられれば、ぜひご連絡をいただきたい。


【江藤貴紀】


 

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