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ニュースアプリ企業・グノシー 英ニュース社の写真をまとめブログから大量配信 著作権侵害で海外から巨額の損倍賠償請求の可能性

2015年10月21日12時40分
カテゴリ:国内

ニュースアプリ企業・グノシー 英ニュース社の写真をまとめブログから大量配信 著作権侵害で海外から巨額の損倍賠償請求の可能性



グノシーが勝手に大量配信した、「まとめブログ」掲載の写真)


今年の春に東証マザーズへ上場した、グノシー社がイギリスの写真ニュース専門社Vantage News(以下、ヴァンテージ社)による報道写真を権利者のヴァンテージ社に無断で大量配信していたことが、ヴァンテージ社および同社の日本国内での関連企業への取材で分かった。


すでに国内でも新聞社や技術評論社などの出版社によるウェブサイト上記事見出しや写真の、無断大量配信がグノシーについては明らかになっているが、海外からの無断流用が判明したのは今回が初めてである。


日本人による海外著作権者への著作権侵害については、東京オリンピックのロゴがベルギーのデザイナーのものと酷似しているとされて、巨額の損害賠償を求める訴訟が海外で提起されたところである。今回の場合も、裁判の管轄国および準拠法にもよるが、やはり海外において訴訟が提起されれば、巨額の損害賠償責任を負うリスクがある。


問題となる写真は、ヴァンテージ社がイギリス大手紙デイリーメール記事のため販売したもので、それを日本のまとめサイト「footballnet」が、勝手に再転載したものである。



(グノシーが配信した、記事リンク先まとめサイトにあった写真。vantagenewsのコピーライトが入っていたことから、オリジナルの著作者がヴァンテージ社であることが判明した。)


なお写真については、日本では著作権法10条8号が著作権法の保護の対象として規定しているものの、同法の10条2号では例外として「事実の伝達に過ぎないもの」は著作物に当たらないとする。だが、今回のヴァンテージ社が撮った写真はイタリア代表にもなった著名サッカー選手スポーツ選手バロテッリの暴行という「決定的瞬間」を撮ったような写真であり、この例外に当たる可能性は低く、著作権侵害として同社および役員、従業員は損害賠償責任と刑事罰(著作権法119条1号)を負う可能性がある。


ちなみに英国ヴァンテージ社は「グノシー」自体を知らず、本紙の問い合わせに当惑している様子だった。再確認のため、ヴァンテージ社との契約関係の有無を本誌が10月8日にグノシー社IRに電話で問い合わせたところ、法務担当者が不在であるということであった。なので「戻ってきたら、ヴァンテージ社との契約の有無についてお聞かせいただけますか」とお願いしたところ、電話応対された方は「分かりました」とおっしゃられたが、今になってもグノシー社からの連絡は全く無い。

前回の記事と繰り返しになるが、グノシーにおいては「新規上場申請のための有価証券報告書」で「コンテンツホルダー(外部メディア)」へ対価を支払ってコンテンツを配信するというビジネスモデルを投資家に説明しているところ、実際には国内外で複数の権利者に無断でコンテンツを大量配信して広告利益を得ている(筆者が調べた限りでは、大手で著作物の権利関係に煩いところとならグノシーは契約を結んで対価を払っている一方で、地方紙や専門書の出版社など法的にキツいことを言わなそうな(あるいは訴訟を行う経営体力の少なそうな)会社とは契約をあまり結んでいない傾向が見られる。)。



(東証にグノシーが提出した有価証券報告書)


すると、投資家にとっては「対価無しでコンテンツを利用していたことに対する損害賠償請求」という予想外のリーガルリスクが存在していることになり、有価証券報告書の虚偽記載として上場廃止基準に該当し得る。というか、もとからして著作権関係の怪しいまとめサイトの配信をすること自体が(上場の有無にかかわらず)ビジネスとしては相当に悪手である。


なおグノシー社(10月21日12時15分現在、888円)においては、他にもガーディアン紙や英国BBC放送など、海外メディアの報道写真や見出しを大量に配信していたことが発見出来たが、これについての適法性や契約関係も(何しろ法務担当者がずっと不在であるので)同社からは確認できていない。



(同じく、グノシー社が配信した英国紙ガーディアンの写真と見出し)この点、ガーディアン紙などに確認中であるので、新たに法的関係が判明次第、追記する。


最後になるが、TPP(環太平洋戦略的経済協定)について政府のTPP対策本部が現時点で発表しているところによれば、著作権侵害については、法廷損害賠償制度または追加的損害賠償の規程が定められると言われる他、(今回の件がこれに当たるか微妙だが)一定の要件の下で非親告罪とするとされている。



(内閣府HPより)

そのため今後、国内法の下でも著作権侵害のリーガルリスクは高まることになると思われる。


関連記事リンク グノシー、記事見出しを権利者に無断で大量配信と判明 損害賠償請求と上場廃止の可能性


【江藤貴紀】


 

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