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日本会議会長 外国特派員協会の会見で集中砲火・・・「そんなことをうちの団体が言っているとは知らなかった」

2016年7月13日17時50分
カテゴリ:国内

日本会議会長 外国特派員協会の会見で集中砲火・・・「そんなことをうちの団体が言っているとは知らなかった」

2016年7月の13日、安倍政権の閣僚のうち多くが参加しており、改憲運動のバックグラウンドとなっている政治団体「日本会議」の会長田久保忠衛氏(杏林大学名誉教授・元時事通信記者)が外国特派員協会で会見した。その中で同氏は、日本は米国の保護国状態にあるなど、以前から著書で書いている議論を展開した。


ただ同氏は国内ではそれほど知名度が高くないにも関わらず、会見の会場は超満員で海外政府(外交官が多く、協会には所属する)と外国メディアによる日本会議への関心の高さが伺われた。


そして質問は恐ろしいほど的確で、なおかつ田久保忠衛氏のちょうど知らない点や苦手な分野を知り尽くしているよう筆者には見えた(ふつう用意する「想定問答集」の類を見透かされているかのように、ヒットが多かった)。そして他の会見と比べても、日本語の流暢な外国人記者らが質問役を担当、さらに質疑応答がズレると司会者がそこに指摘を入れ、また質疑応答では田久保氏の健康状態がすぐれないこと(*筆者の知る限り、一般には報道されていないしセンシティブ情報なので、公衆の面前で触れるのは、非礼か挑発かいずれかである)を前置きに質問する特派員がいるなど、プレッシャーの異例に強い会見となった。以下、①プレゼンテーションと②質疑応答の内容をお伝えして、③最後に、田久保氏のこれまでの主張を踏まえた筆者の所管でまとめることとする(太字部は筆者による)。


田久保忠衛氏:タダエ・タクボです。この台の上に乗って、皆様の前でお話をするのは初めてのことでして、大変光栄です。最初にこちらからの要望で、日本がどちらを見ているのか、フェアな報道をしないといけないので来てくれていうことで来ました。フランクに申し上げますと、外人記者クラブからの世界への発信は、どこにスタンドポイントを置くかによってがらりと変わってくると思います。


日本が極めて危険で好戦的な状態にあって、そこで安部さんが登場したという見方には、私は反対です。現実に安部さんがナショナリスティックな政策をやったということは聞いていません。それよりもかつてブレジンスキーという人が明確に日本の立場を言っています。「事実上の保護国」です。


仮に国家が経済政治軍事という三本足で成り立っているとします。その一本の軍事が、普通の国ではないのです。これを間違えると、いけない。日本は憲法では軍隊の規定がないんです。軍隊の規定を乗せろというと、軍国主義者という批判を受けます。ブレジンスキーが保護国という言葉を使ったのは、外交防衛問題で日本はアメリカの言うことを聞かないと動けない。これは普通の国ではないと言ったのです。


ですから、右、左、真ん中、のうち非常な左から真ん中に移動しようとしている。一部の新聞は真ん中からエクストリームライトに移りつつあるという分析をしているが非常に遺憾です。例えば湾岸戦争の時、日本は何もしなかった。130億ドルを出しただけです。ブッシュ大統領の率いる国際軍隊で、あっという間にこの戦争は抑えられました。


日本は140億ドル(*金額が、前の発言と相違しているが、ママ)のお金を出したけれど、どこからも感心されなかった。私は当時、ワシントンにいてワシントンポストの広告、感謝広告を見ました。非常に丁寧な言葉でお礼が言われていて、以下の30カ国にお礼を申し上げるとあったが、その中には日本はなかった。


イギリスのエコノミストは、私の最も愛読していた権威ある雑誌でした。この雑誌は日本は眠っている、日本よ起ち上がれといった。それを素晴らしい論説だと思って私は自分の著書に引用しました。ところが去年、私は日本会議に対するエコノミストの論調にびっくりしました。日本は戦前に変わろうとしているというのです。


私にできる抵抗は、こんなのを読まないことだけです


湾岸戦争が終わった数年後に、小沢一郎という政治家が本を書きました。政治家として、私はこの人を全く信用しない。今は正反対のことを言っているからです。しかし当時、彼は日本は普通の国になれと言った。これは私たちが彼よりも前から言っていたことですから、大賛成です。この「普通の国」実現に着手して、手を打ってきたのはただ一人、安倍晋三です。


私はここで安部の立脚点を多くの皆さんに理解していただきたいともおもいます。安部は、真ん中の普通の国から右にシフトしたわけではなく、エクストリームレフトから真ん中に日本をもってこようとした唯一の政治家です。今、自衛隊は憲法に規定がない。このような国があるでしょうか。それから天皇陛下は警察と消防の大会にはお出になるけれども、自衛隊関係のものにはお出にならない。でも軍をコントロールする、統帥権が戦後は全く変わってしまっています。こういう事実をわきまえないと、日本は強い国であるのが、ますます強い国になろうとしているとなってしまいます。


もう一つですが、今回のテレビで誰か一人でも政治家が国際政治について語ってますでしょうか。昨日ハーグで仲裁裁判所が判決を出しましたが、その中では日本とアメリカが立脚する点を、ハーグの判事は述べました。でも、このことが一切、選挙の争点にならないのは異様なことに私には見えました。


中国の膨張主義が南シナ海で目立ったのは、2013年以降であります。ハーグ判決でお分かりの通り、明らかなエクスパンショニズムではないでしょうか。これに対して、日本は防衛に欠陥があり三本足で立てない。この欠けた一本を補強するために日米同盟を強化する必要があります。


なお中国の膨張主義について、最も信頼するべき国はアメリカだが、ここには大きな変化があります。アメリカ大統領候補である、(ヒラリー)クリントン、トランプさん、お二人が入っておられるのはアメリカは大概コミットメントはかなり制限するということを言っています。現大統領、オバマでも2014年、ウエストポイントの陸軍士官学校で、アフガニスタンに増兵はするけれども、彼が一番構築したいのは「アメリカファースト」なのだと言っています。


まず1番目に中国の膨張主義と2番目にアメリカの内向き、これを前にして何をしないといけないでしょうか。戦前の軍隊を復元というおどろおどろしいことを言わないでほしい。戦前の軍のシステムと今の自衛隊は全く違うからです。その自衛隊のシステムを普通にする、それで私は改憲に賛成です。

最後になりますが、護憲派の言い分は中国の言っていることと非常に似ているということで、私の言い分を終えます。ご清聴ありがとうございました。


                         質疑応答


Q 政権はいつどのように憲法を変えようとしているかの予想をお願いします。


A 3つあります。一つは私個人の立場です。衆参で3分の2というのは戦後に初めてで絶好のチャンスを迎えました。私が安部さんなら任期の間に全力で憲法を改正したいと思います。(2つ目に)日本会議は、いろんな合議体ですから歓迎の声明はもう発表しています。日本会議はこれから色々な運動を検討してから乗り出すと思います。3番目に、私の希望ですが日本は民主主義社会です。同じ自民党の中でも憲法改正に反対も賛成もいる。自民の中で改正するのも大変だけれど、野党だと9条の改正に反対の人もいます。どう動くかは私の研究テーマですね。


Q (デイビッド・マクニール記者) 皇室について日本の10年後どうなっているかのヴィジョンと、戦前についてお願いします。

A 皇室についての問題と、戦前の日本は正しかったかの二点ですね。まずご認識いただきたいのは、欧州の王朝は征服王朝です。それから中国の皇帝は天の革命が起こります。易姓革命です。しかし日本の天皇は祭祀王と言います。

プリーストキングと言いますか、日本の皇室は2つに分かれ始めた。(天皇が)子供の時や老いた時などに、摂政関白というシステムで藤原氏が皇室から権力を奪い始め、それに平家、鎌倉幕府、北条、足利、江戸幕府と続いて、それから欧米のショックで日本は明治維新となりました。


平安以降に、権限を握っていたのは武士です。ただその人たちは皇室には手をつけませんでした。例外はあるけれど、日本の皇室は2000年以上続いているけれど、武士が権力を握るという二分論があるんです。これが困ったことだけれど、日本人でも皇室を軽蔑する人はいます。だけれどイギリスのようになったり、共和制になったりはしない、今のままの皇室が続いていくと私は思います。


10年後には、憲法が改正されて、北東アジアに普通の国が出来ると思います。でも、周りの国と仲良くやらないといけないという制約はあります。我々は軍隊は作るが、シビリアンコントロールをして、関係国に心配を起こさせない、観光客も多くする。道義国家が目的だと私は思います。


マクニールさんのもう一つの質問に答えます、日本は戦前を目論んでいるか、戦前をどう見るかですが、いかなる国も戦争をした国は異なった歴史観を持っています。いかなる国も歴史観は違う。これを修正主義というかはともかく、私はそう認識してます。


いつまで根に持っているかというと、賢い国際性を持った政治家は歴史観を異なっているものを持っても、悪くなりはしません。例えば皆さんがナショナリストといった安部さんは、アメリカの議会で非常に柔らかいことを言って下院議長は涙を流されていた。アメリカ大統領のオバマさんはどうしたか。伊勢志摩に来られた時に、特に広島を訪問された。二人の賢明な政治家が歴史観はそれぞれ異なっても、日米の関係を新しくしていく、行為と言葉で示されたことだと思います。これが2番目の、マクニールさんへの答えです。


Q(司会者) 彼の質問は、日本の戦争が間違いだったかどうかということですよ?

A 間違っていた部分と正しい部分があると思います。松本重治さんの恩師にアメリカの学者がいて、名前は失念したのですが、アメリカがいかに間違っていたかということも述べてられます。従ってどちらかが絶対的に悪かったということはなく、どっちもどっちだと思っています。


Q 私はあなたの健康状態がベストではないことを知っています。にもかかわらず、お越しいただきありがとうございます。天皇と平和主義、戦争についてお願いします。


A 天皇陛下については、日本は私の理解では、今は立憲君主です。先ほど私は天皇についていろいろ言いましたが、明治以降の権力は、日本は立憲主義なので天皇に形式上お渡したのです。ただし天皇は全ての責任を負わないというのは、御名御璽というのが天皇から出るけれど、これは副書者というものがいるが、これは天皇に変わって、その人が出したということです。


明治天皇も昭和天皇も、3つずつの決定をされただけ。明治天皇については都を京都から東京に移して、西郷と大久保の西南事件のときと、島津久光が三条参議を弾圧された、このときだけなんです。明治憲法で、権力を総覧しているのは明治天皇ですが実際に権力を分担したのは元老なんです。元老が死んで段々少なくなってくると、これからが悪くなってくる。これが日本の悪かったところですが、陸軍参謀総長、内閣総理大臣など5人で権力を取ってしまった。それが最大のあの戦争の失敗だったと私は思います。


また昭和天皇は3つの判断をされただけです。これは日本の政府が悪いことについての判断をなされた。1つは満州事変の前の張作霖爆殺事件、これに激怒された。2番目、これは二・二六事件で、反乱軍の将校を絶対にお許しにならなかった。3番目は、終戦の時に内閣が判断を出来なくなった時に、もう戦争を終わらせようとした。以上です。


Q すいません、私の質問は、天皇陛下の平和主義に対する発言、天皇陛下への戦争加害への発言はどうかということですが?

A 天皇陛下の発言はすべて正しいと私は思っています。


Q 中国の膨張主義を批判されますが、戦前の日本はどうでしょう。1952年の平和条約ではすべての島は中国に所属する、パラセル諸島については日本は中国に譲ったのではないでしょうか。なのに、中国が南シナ海に出るのは、膨張主義と批判されるのですか?

A まず、あの戦争は日中の戦争であり、日米の戦争と、日ソの問題がありました。今のお話は日中の南シナ海について限定されていますが、戦前の日本が膨張主義をやっていたとしても、中国の現在の膨張主義が許されるわけではない。昨日のハーグ判決の立場に従うべきであって、今の中国がやっていることは明らかな膨張主義です。


Q 自民党が変えようとしている憲法の条項は、9条だけではありません。個人の権利に関する変更がなされると他の民主国家とはかなり違ったものになると思いますが、どうでしょうか?


A 個人の人権は、尊重しないという人はほとんどいないのではないでしょうか。一体他の国と、どう日本が違うのですか。

Q 日本は道義国家になるべきとおっしゃいました。具体的にどうするのですか、例えば教育システムについて述べてください。


A 実は3年前に、産経新聞社で憲法の改正に関する議論の座長をやりました。憲法には目的を掲げるべきではないか。これで一番くだらないものは、軽武装、経済なんです。私なりの解釈は人権、民主、法治という普遍的な価値観を尊重しようという旗を掲げた。私は教育が全てその方向に行くべきとは言ってないですが。これは憲法上のモラルの旗を掲げただけです。


Q 日本会議はどうして、国連の児童の権利条約に反対して、体罰に賛成なんでしょうか?そして女性の権利について聞きたいのですが、日本会議の女性の立場についてお願いします。


A これはお恥ずかしいですが、日本会議が具体的にどういう政策をしようとしているのか、私は知らないんです。体罰については日本会議はどうしようと言ってるのですか?


Q 言っているのは会員の加瀬(英明)さんです。


A 加瀬さんが、そういうことを申されたとしても、日本会議を代表する見解ではないと思います。私の個人的な見解ですが、ラフカディオハーンが日露戦争の時に述べたエッセイがあります。それでは、レストランなどでは日本人は子供に体罰を加えない、大学に入ってから厳しくすると言っています。私の個人的見解では、アメリカがやっているような、パンツを下ろして尻を叩くスパンクは必要です。体罰については、必要な国とそうでない国があるでしょう。


7月13日、23時20分頃追記:会見全体のムービーは、このYouTubeリンクで確認することができる。


なお、最後に筆者の感想を付け加えるならばこの日の田久保忠衛氏は、意図的に親米的なニュアンスを出していたーーというか、もともと持っていた反米的なトーンを抑制して会見を行ったと感ぜられる。どういうことかというと最も最近の著書である2014年の「憲法改正、最後のチャンスを逃すな!」において、現行の日本国憲法は「総司令部(GHQ)から与えられた占領基本法」と評しているからである。



(同書の「あとがき」より)

従って、この会見「だけ」を取り出してみると、田久保忠衛氏、ひいては日本会議全体の持つナショナリズムーーアメリカも含めた諸外国への攻撃性ある意識ーーを見落とすことになるだろう。その意味でいうと、今回の会見は、神輿を担いでなおかつ信念もカムフラージュした「煙幕」である。

(日本会議の組織に関しての詳しい分析は、菅野菅氏による「日本会議の研究」を参照されたい)。


7月14日16時頃追記:この会見を取材していたBUZZFEED紙の指摘とハイパーリンクで気づいたが、田久保忠衛氏は加瀬氏が会長を務める「体罰の会」の顧問であった。なお同会は「子供には体罰を受ける権利」があるとうたっており、また「戸塚ヨットスクール支部」を有する。



(体罰の会HPより)


関連記事リンク 旧エコーニュース – 安倍政権 閣僚15人参加中の政治団体「日本会議」 ドメイン登録で電話番号を +99.999999999999 と虚偽記載

【江藤貴紀】


 

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