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【安保法案】法務省・定塚誠訟務局長、安倍総理と法案成立前日に会談の前後 メール記録を全て破棄または利用記録なし 情報公開請求への法務省応答で判明

2015年11月28日12時13分

【安保法案】法務省・定塚誠訟務局長、安倍総理と法案成立前日に会談の前後 メール記録を全て破棄または利用記録なし 情報公開請求への法務省応答で判明


国会でいわゆる安保法案が成立する前日の9月18日に、安倍晋三総理と法務省の高官、定塚誠訟務局長が会談していたものの、その会談前後(2015年9月中)に定塚氏が法務省内のPCまたは法務省の公務アドレスを使用して送信したメールも、定塚誠氏のPCおよび公用アドレスあてのメールも法務省に保管されていないことが、法務省からの情報公開請求への応答で分かった。


実は以前の取材で、安倍晋三総理と会うために作成した資料および会談時に作成した文書も全く法務省は持っていないとの解答をしている。


まず、取材の契機は9月18日の首相動静である。時事通信によれば首相官邸で「午後4時5分から同14分まで、定塚誠法務省訟務局長と」会談とある。訟務局、というと聞き慣れない部署であるが、実は平成27年の4月10日に法務省で新設された部署であり、法務省HPでその役割を見ると将来の訴訟に備えるような旨の説明がされている。


なお、これはアメリカにおいて公文書の管理保管が非常に徹底されていることと極めて対称的である。例えばアメリカ原子力規制委員会は、福島第一原子力発電所事故に日本に援助チームを送ったが、彼らの更新記録はメールから電話に至るまで、全てが保存され・センシティブ情報を除いて2011年から大急ぎで10万ページ以上(あるいは100万を超えるかもしれない)が公開されている(詳しくは後掲・旧エコーニュース記事リンクとその関連記事を参照。なおアメリカ原子力規制委員会の福島事故資料はこの米国政府HPリンク先でアップされており、英語さえ出来れば誰でも世界中で見ることが出来る)。


また、世界全面核戦争の一歩手前となった、キューバミサイル危機時にも米国は政府首脳らの逐語に渡る会話内容その他一切を記録しており、それを研究した「決定の本質」は歴史のみならず、政治・外交・また組織での意思決定論にいたる幅広い学問分野の古典となっている(この記録分析の成果で著者のアリソンはハーバード大学行政学大学院教授となり、さらにはクリントン政権下で国防総省の実務家として、複数国の核廃棄プログラムに関与、その後も9.11後の2004年に核テロ―今ここにある恐怖のシナリオ“>「Nuclear Terrorism: The Ultimate Preventable Catastrophe 」(邦題は「核テローー今ここにある恐怖のシナリオ」として販売されているが、ややセンセーショナルに過ぎると思う)を発表するなどしてアメリカの安全保障政策の第一人者となって、キューバ危機の知見をその後の政策過程にフィードバックしている)。


加えて言うと、公文書管理法は4条において「当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。」としており、その事項の中には「法令の制定又は改廃及びその経緯」が含まれる。そしてその趣旨は同法1条にある「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにする」ことである(太字部筆者)。


この法律は罰則規定がないためにザル法なのであるが、定塚氏と法務省はMinistry of Justice(英訳すると「正義省」を名乗っておきながら、正義に反することこの上ない(この公文書管理法に関する論点は11月24日付け朝日新聞東京版・朝刊1面記事「集団的自衛権の憲法解釈変更 法制局 協議文書残さず」とした蔵前勝久記者の記事を参考にしてある)。


以上の通り、9月18日会談やそれに法務面から関わったとみられる政府高級官僚のメールすら残っていないことには、ろくな正当化理由がない。このことは、今後の立法論のための資料としてのみならず、安全保障政策、組織論などについての我が国の学術研究が大きく政府高官らによって妨げられていることを意味する(ちなみに、定塚誠氏はもともと裁判官として出世コースを歩いてきており、最高裁判事になる可能性も高いくらいの人物なので、今回の不開示決定が違法だとして、日本の裁判所で訴訟しても無駄であると思われる。)。



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【江藤貴紀】


 

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